人材育成

更新日:2022年12月28日

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人材育成

地方自治体を取り巻く環境は、ここ数年急激かつ急速に変化しています。
その変化の主なものは、急激な少子高齢化でありますが、日本は世界の先進都市に比べ非常に速いものがあります。これは自治体の存在に大きく関わる問題であり、年金受給者の増加に伴う税収の減少、医療費、介護費等の増加などの要因により、今後は人的及び財政的にバランスのとれない自治体が増えると考えられます。このような厳しい状況下で、総合計画を推進し、さまざまな施策に取り組むためには、行政運営における経営資源としての限りある「人、物、金」といわれているなかで「人」の部分の重要性を再認識しなければなりません。
そこで、本町では、人材の育成と活用に取り組むため、ここに基本方針を定めるものです。

 

基本方針がめざすもの

 従来より、町では人材育成については、職員研修の実施、適材適所の職員配置、職員提案制度の活用、職員表彰制度、勤務評定制度など様々な方策により取り組んできましたが、今後更に地方分権がすすむにつれ、地方自治体が自らの判断と責任において処理すべき範囲が広がることにより能力を充分発揮できる人材の育成と活用が極めて大事であります。また社会の価値観の多様化と同様に仕事に対する自己実現も多様化してきました。
 このような状況下において、寒川町では、どのような人材が必要なのか。そのための職員の能力開発をどのようにするのか。意欲をどのように引き出し、意識改革を図るのか。「人は重要な資源」との考えから、これらを計画的に、かつ、明確にすることにより、自力で能力アップが図れ、不測(不足)にあっては助言(協力)ができ、まちづくりに果敢に挑戦できる職員をめざします。

 

あるべき職員像

1 公務員を自覚し、町民から信頼される職員

 基本である挨拶と身だしなみがしっかりした職員は、常に職員としての自信と寒川町で働くことに喜びを持っていることの現れであります。このことは、連鎖的に本人を囲む職員、更には町民に対しても明るく接することができ、共感する町民との協同関係が生まれ、互いの信頼関係を構築するためのスタートとなります。

2 公務員魂をもった職員

 地方分権一括法の施行により、地方への権限委譲が進む中、地方自治体は、その果たすべき役割がますます大きくなり、そして今その委譲された権限の行使方法や独自の政策をどう実現していくかなど、新たな課題への取組みに迫られています。
    このことは、地方自治体の自由な政策の幅が広がったということであり、その達成手段としての法即ち条例を自由自在に取り扱える能力を持った職員が求められていることに他なりません。今後は、更に地方自治体間に差がつく時期が到来することの危機意識を念頭に、自らの責任において条例を制定し、政策実現のため、一層の自己研鑽と努力が必要であります。
 全体の奉仕者である公務員として職に就いた以上、自信を持って窓口で、現場で事務を処理することは当然であります。そして地方自治体業務は法に基づいた業務であり、必然的に職員は法を執行していることを認識しているものでありますが、常に毅然と堂々とプライドを持って行政を推進していくためには、今後は更に法使用意識をもった職員が求められます。

3 いつでもチャレンジャーである職員

 町民から歓迎されるサービスを提供することは、地方自治体の職員としての喜びであります。ではどうすれば歓迎されるのか。窓口で丁寧に説明し、対応することは当然でありますが、これだけでは喜ばれません。毎日現状の事務を処理するだけでは行政改革も先に進みません。すべての職員が自ら事務の価値を認識し環境変化に対しては自ら課題を見い出し、議論をし、解決を図り、そしてより良 いサービスに繋げていくことが必要です。新しいものに臆せず、恐れずチャレンジする職員が求められています。

4 広い視野を持ち、高い倫理観をもつ職員

 公務員は、公務のみ熟知していればよく、事務執行上問題は無いと言う考え方は、急速に変化する社会経済情勢には、とても対応しきれるものではありません。公務員がおかれている環境を巧みに知り、世間が見える時代が見える努力をしなければなりません。
 公務員である以上、職務遂行中はもとより職務外における非違行為は、公務への町民の信頼を失墜させ、行政への信用も損ないかねないものであります。職員は、どのような場合においても、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する責務を有するという自覚を持つことが重要であります。

5 精神的にも、肉体的にもバイタリティのある職員

 「健全な肉体に、健全な精神が宿る」と言われていますが、心身両面の健康管理ができてこそ職務遂行能力が高まるというものです。不完全な状態で職務についても仕事どころではありません。日頃より身体的及び精神的にバランスのとれた健康づくりに努め、毎日リフレッシュした活力ある状態で職場に臨むことが求められます。

6 EQ(こころの知能指数)の高い職員

 「現在進行中の自己の心的状態を認識する」ということは、EQの考え方そのものであります。
 EQの高い職員は、自分のおかれている状況を違う観点から眺めることができ、また自在に気分転換が図られ、よって仕事をより正確に、かつ、効率的に対処することができます。

 

必要とされる能力、意識

接遇態度は基本

 公務員はサービス業であり、町民から信頼されるサービスを提供するには、まず、すべての基本となる接遇態度を身につけねばなりません。その際の容儀、衣服等が正しいことは言うまでもありません。更にコミュニケーション能力へと磨きをかけることで、更なる信頼を得ることができるといえます。

政策法務能力を磨く

 住民との課題を法的課題として捉えるか、単なる事実として捉えるかでは大きな差である。自治体の窓口においては、毎日の事務が法と関係し、法使用によって事務を処理していることを認識しなければならない。このためには、職員は、法を積極的に、主体的に使いこなし、課題を解決に導く能力即ち政策法務能力が必要です。そして政策形成能力へと繋げていく必要があります。

個人目標の設定と意識改革

 「仕事を無難にこなす」という考え方は、今も職員の鉄則と思われ、かつ、「今より出世する」ための基本原則のように考えられていますが、この考えに固執すると、新しいものの発想、事業の転換、スクラップアンドビルドなどの大きな妨げとなってしまいます。地方自治体が横並びと言われる所以であります。    
 組織として何を行うべきかという認識のもとに個人目標を設定させる。このことにより、個々の目標の組織的な位置付け、役割が明確になり、職員の主体的な職務遂行に繋がります。
 また、常に問題意識をもつなど職員一人ひとりの意識改革を行うことにより、柔軟な思考に基づく質の高い職務遂行を目指す職場づくりを進めます。

広い視野と資質の向上

 自治体を取り巻く環境が急速に変化していることは、全ての面において国際化が進んでおり、国内だけあるいは地方公共団体だけを見ている職員ではなく、国際的な視野で行政を考えられる能力をもった職員が求められています。  
 町民の公務員に対する信頼が、あらゆる意味で、行政を推進する上での基礎となることに留意しなければなりません。
 服務規律の確保に努め、継続した綱紀の粛正の喚起を行い、職員としての資質の向上を図ります。

最後までやり抜く

 バイタリティ(活力)は、最後まで自己投入してやり抜く能力であり、実践力または行動力でもあります。通常に、元気があればハキハキとし、好感が持たれ、事務を処理する上でも信用されます。 

人間関係を賢く処理する能力

 職場の中に他人の感情を全く考慮しない職員がいたらその職場の雰囲気は、効率的に事務処理を行うことに悪影響を及ぼします。当該職員により周囲の職員は心理的に動揺し、そうするとその職員は記憶や集中力や学習能力や判断力が低下するのです。良い感情と雰囲気は仕事を達成する上で看過できない重要性をもっています。そこで必要なものは人間関係を賢く処理する能力であります。
 人間は、気分がいいと最高の能力を発揮します。頭の回転が速くなり情報に対する理解力が上がり、種々の問題にも正しい判断を下すことができます。職場における感情レベルで絆を形成していくことが大事であります。

 

人材育成の取り組み-具体的な施策

公務員を自覚し、町民から信頼される職員

 町民から信頼されるような職員の育成を図るため、基本となる研修を創意工夫しながら実施します。
 採用後初期の段階を重点的にOFF-JT(OFF-the-Job Training)による研修を実施しますが、接遇研修、コミュニケーション研修などは、OJTにより研修を実施します。また、中堅の時期であっても、必要に応じて繰り返し実施します。

公務員魂をもった職員

 職務を法的課題として捉えられるように、法制執務をはじめ民法、行政法など基本的な法令に加え、職務に適用される法を学ぶなど研修を通じて政策法務能力を引き出し、自信の持てる職員を育成します。さらに、自発的な能力開発を望む職員の意欲に対し、支援していきます。
 自己啓発は持続していくことが大事であり、大学等における通信教育講座などの自己啓発研修及び自主研究制度の推進並びに職員提案制度の活用を図り、職員が自ら積極的に能力開発に取り組む環境づくりを進めます。

いつでもチャレンジャーである職員

 定期的な話し合いの場を設けるなど職員間における活発な意見交換、議論等を行い、その中から自発的な提案を引き出すなど課題設定能力を高めていきます。
 事務事業評価の確実な推進により、職務目標を設定し、達成すべき成果を明確にしていきます。
 管理、監督者の資質向上に併せ目標の進行管理をマネジメントできる能力開発を進め、併せて政策形成能力を磨く環境づくりを進めます。
 また、勤務評定制度を積極活用し、能力主義人事制度の構築など職場が活性化する環境づくりを進めます。

広い視野を持ち、高い倫理観をもつ職員

 職務がおかれている社会環境を理解できる職員を育成します。町民の負託にこたえるべくモラル(職業的規範)とモラール(士気、風紀)の高い職員と組織を創り出します。
 あらゆる情報源を最大限活用するとともに、職員人事交流の推進を図り、社会情勢の変化に機敏に対応できる職員を育成します。
 OJTはもちろんeラーニング(ITを活用した学習)などによる服務規律の遵守を繰り返し徹底します。また、男女平等の職場づくり、人権問題、不祥事防止の取り組みなど、環境づくりを進めます。

精神的にも、肉体的にもバイタリティのある職員

 健康でポジティブな精神をもった職員を育成します。
 福利厚生の充実や余暇の有効活用により、職員が心身ともにリフレッシュできる環境を整え、活力ある職場づくりを推進します。
 また、産業医の活用によるメンタルヘルス対策など、健全な職場環境づくりを進めます。

EQの高い職員

 集団に共鳴現象を起こし、組織に前向きの雰囲気を醸成する職員を育成します。
 EQは、自己認識、自己管理、社会認識そして人間関係の管理という4つの要素で構成されており、それぞれの習得の仕方により後天的に身に付き、かつ、本人の努力と意志さえあれば育てられる能力であることから、あらゆる研修、制度等により得た知識、効果をフィードバックさせ、要素を高める環境づくりを進めます。