平成29年度 施政方針

更新日:2017年03月06日

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 本日、平成29年寒川町議会第2回定例会3月会議開会にあたり、平成29年度予算案をはじめ関係諸議案を提出し、審議をお願いするわけでございますが、予算案等の提案に先立ちまして、私の町政に対する基本的な考え方や施策の概要について申し述べ、議員各位ならびに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

(はじめに)

私は平成27年9月、町長として2期目の町政運営をスタートさせて以来1年半が経過したところでございますが、引き続き、町民の皆様との協働のまちづくりに主眼を置きながら、多様化する町民ニーズに応えるためにも時勢の変化に速やかに対応する町政運営に努めているところでございます。

 さて、本年1月の内閣府月例経済報告では、「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」とされております。

 しかしながら、昨年11月29日に閣議決定された平成29年度予算編成の基本方針の中では、「経済の先行きについては、海外経済の不確実性や、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。あわせて、アベノミクスの成果を十分に実感できていない地域の隅々までその成果を波及させ、生まれはじめた好循環を腰折れさせることのないように、施策を実施していく必要がある。」とも発表されております。

 こうした社会経済情勢の中、町の財政状況も依然として厳しい状況にあるものの、持続可能なまちづくりに向け、「着眼大局、着手小局」の考え方のもと、一時と言えども休むことのできない行政需要に対応する予算を編成したところでございます。 
 

(町政に対する基本的な考え方)

それでは、町政に対する基本的な考え方について申し上げます。

 私は、昨年度の施政方針において、刻一刻と変化し続ける社会環境に適切に対応しつつ、基礎自治体として「変わる」のではなく、自らの意思、主体性を持って「変える」ことに歩幅を大きく取り、注力してまいりたいと申し述べたところであります。

 このことから、昨年度は、中小企業診断士の方を地域経済コンシェルジュとして委嘱し、経営や創業など様々な課題解決に向けた企業支援に取り組むことで、寒川版エコノミックガーデニングによる支援ネットワークの構築に向けた第一歩を踏み出したところでございます。また、本町の持つ魅力を町外に発信していくための町プロモーション戦略の策定に取り組むことで、移住・定住促進に向けた戦略的な取り組みの土台づくりを行ったほか、妊娠期の経済的負担軽減のための妊婦健康診査に係る助成額の増額や、児童・生徒の学力向上のための放課後補充学習会である、寒川にこにこ学習会の実施など、安心して子どもを産み育てやすい環境づくりにも取り組んだところでございます。さらに、さらなる安心した暮らしのための寒川駅前への交番設置のほか、次代を担う若い世代の意見をこれまで以上に取り入れた町政運営を図ることが不可欠であることから、その環境づくりに取り組むことで、若者のまちづくり参画促進コミュニティ「まちびとすたいる」が発足するなど、若い世代がまちづくり活動について主体的に意見を交わす場の創出につなげることができたところでございます。

 このように、多様化する町民ニーズを的確に捉え、きめ細やかでスピード感を持った対応に努めながら、町総合計画「さむかわ2020プラン」後期基本計画第2次実施計画や寒川町まち・ひと・しごと創生総合戦略、いわゆる町総合戦略に基づき取り組みを進めてまいりましたが、限られた行政資源の中で全ての課題に行政が対応することは、困難な状況となってきております。

 今後につきましては、町総合戦略に基づき、仕事の創出、子育て支援の充実、教育内容・環境の充実を柱にしつつ、さらなる事業の「選択と集中」を図るとともに、地域主体・町民協働によるまちづくりを町政運営の基本とし、こうした状況を町民の皆様と共有しながら、町総合計画「さむかわ2020プラン」後期基本計画第2次実施計画に位置付けた事業と町総合戦略の着実な推進により「選ばれる町」をめざしてまいります。

 

(平成29年度予算)

平成29年度予算でございます。歳入の一般財源の根幹をなす町税につきましては、これまでの国における強力な経済政策や各種政策により、景気の緩やかな回復基調が見られるものの、本町においては依然として厳しい状況となっております。

 個別に税目を見ますと、基幹税目の固定資産税では、償却資産においては企業の設備投資などに伴って若干ではありますが増となっているものの、土地及び家屋においては、評価替えの年度ではないことから前年度並みとなっており、固定資産税全体では増としております。

 一方、個人町民税では、雇用状況の改善が続く中で、その効果が個人所得の伸びにはつながっておらず所得割で減、また法人町民税では、一部で企業収益の改善が見られるものの、全体としては減益を見込み、法人税割を減としております。

 このようなことから、滞納繰越分を含む町税総額は、81億2,000万円で、対前年度比1.0%の減といたしました。

 一方、歳出につきましては、道路や公共施設の老朽化対策、小児医療費助成対象の拡充等子育て支援の充実、高齢化の進行による扶助費等の増加、中学校普通教室への空調機設置等学力向上環境の充実、高規格救急車両の更新等消防救急体制の充実、企業総合支援やタウンセールスなどの地方創生に関する取り組み等、町を取り巻く課題に対応するため、これに対する財源として、国県支出金やまちづくり基金等を活用いたしました。

 よって、一般会計総額は137億4,400万円、対前年度比0.5%の減とし、国民健康保険事業特別会計をはじめとする5特別会計を合わせた全会計の予算額は259億3,346万円、対前年度比で1.3%の減といたしました。 

 

(主な事業)

 

 それでは、本年度の主な事業につきまして、総合計画に掲げた町の将来像である「優しさと 輝きと うるおいのあるまち 湘南さむかわ」の実現に向け、共通的な考え方を3つの基本姿勢とし、5つの基本目標を定めた、後期基本計画の体系に沿って、順次ご説明申し上げます。

 

 それではまず、3つの基本姿勢の1つ目といたしまして 「町民との協働によるまちづくりの推進」 でございます。

 本年度におきましても、本町のまちづくりに対する最高規範である自治基本条例の本旨に則り、町民と町が、自治の担い手としてそれぞれの責任を果たしながら、相互に補完し、協力し合ってまちづくりを進めてまいります。

 協働によるまちづくりの推進といたしましては、平成27年度から開始した、みんなの協働事業提案制度モデル事業を、より良い制度とするための見直しを行いながら継続実施していくとともに、新たに一之宮の旧寒川交番を安全と交流のスペースとして活用し、地域住民活動に寄与するよう努めてまいります。

 また、町民との協働によるまちづくりを進める上で、情報の共有は欠かせません。

 「より見やすくて、わかりやすい」広報紙をめざし、広報さむかわをフルカラーとするほか、スマートフォンなどを利用して広報紙を読むことができるアプリ(マチイロ)、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS、メール配信サービスなど、時勢に合わせた手法を活用しつつ、本年度より新たに広報戦略課を設置し、幅広い年代に向けた情報発信強化に努めてまいります。

 さらに、町民の皆様の施策に対する満足度の向上を実現していくためには、これまで以上に町民目線での施策立案が必要であることから、新たに戦略的なマーケティングの視点に立った意向把握や市場調査に取り組むとともに、町政への関心の向上と町民参画の促進を図ることを目的に、新たに登録モニター制度を構築し、インターネットを活用した調査制度についても導入してまいります。

 

 次に、基本姿勢の2つ目は 「広域行政によるまちづくり」 でございます。

 町民ニーズがますます多様化・高度化する中で、行政区域を越えた需要に的確に対応するため、広域行政による効率的かつ効果的な行政運営が求められております。

 本年度におきましても、共通課題の解決に向け、藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町で構成する湘南広域都市行政協議会や本町の北部地域と接する海老名市との広域連携での取り組みを継続してまいります。

 また、地域的・歴史的な結びつきの強い茅ヶ崎市との連携につきましては、引き続き茅ヶ崎市・寒川町広域連携推進計画に基づいて、様々な分野における取り組みを着実に推進するとともに、茅ヶ崎市の保健所政令市移行に関しましては、町民の皆様にとってこれまでと変わりなくサービスが享受できるよう、県及び茅ヶ崎市と連携を密にしながら取り組んでまいります。

 

 次に、基本姿勢の3つ目は 「地方分権の推進と自律的な行財政運営」 でございます。

 冒頭申し上げました町総合戦略では、町内産業の活性化と雇用の創出、新たな人の流れの創出、子育て環境の充実、安心して暮らせる生活環境の整備の4つの基本目標を定め、PDCAサイクルによる進行管理のもと、これらの目標達成に向けた取り組みを着実に推進することで「住み続けたい・住んでみたい」と思われるまちづくり、「若い世代からも選ばれる」まちづくりを進めるとともに、町プロモーション戦略に基づき、本町の持つ魅力を町外に発信しながら、町内への移住・定住を促進するための取り組みを進めてまいります。

 また、町民ニーズに的確に対応した公共サービスの提供を目的に、第6次寒川町行政改革プランに基づき、指定管理者制度を導入した公の施設において統一ルールに基づくモニタリング評価を実施するとともに、業務のアウトソーシングや広域連携などの取り組みにより、効率的・効果的な事業の実施と施策の推進を図ってまいります。

 さらに、町総合計画「さむかわ2020プラン」後期基本計画の総仕上げとして、平成30年度からスタートする第3次実施計画の策定を行うとともに、厳しい財政状況の中、健全で計画的な財政運営を図るため、財政計画を見直してまいります。

 なお、今後の本町のあり方にとって大きなポイントとなる「町総合戦略を推進する組織」、「喫緊の課題や環境の変化に対応する組織」とするため、本年4月より業務のアウトソーシング等により生み出した人員を活用した組織改正を行うとともに、職員の適正配置に努めてまいります。

 公共施設の老朽化・更新問題につきましては、平成27年度に策定した町公共施設等白書により、全ての施設を更新しようとすると将来約22億円の資金不足が試算され、全ての施設は維持できないことが判明したことから、昨年度に「少子高齢化・人口減少社会に見合った将来の公共施設等のあり方」の方向性を示す町公共施設等総合管理計画の検討を重ねてきたところでございます。

 今後は本計画内容の周知を図っていくとともに、平成30年度以降に予定している施設再編計画策定の際に建て替え、もしくは長寿命化の判断材料となる、建築物の劣化診断を実施してまいります。

 また、公有財産につきましては、現在の利活用状況等を踏まえながら、必要に応じて売り払い処分等を行ってまいります。

 ふるさと納税推進事業につきましては、財源確保と町の特産品・推奨品のPRを兼ねて取り組みを進めておりますが、本町をさらに応援していただけるよう施策等の充実に努めるほか、返礼品のさらなる拡充に向け、品物だけでなく体験型の返礼品も取り入れるなど、事業内容の充実に努めてまいります。

 また、各種基金につきましては、それぞれの趣旨・目的等を踏まえながら、適正な管理・運用に向けて必要な見直しを進めてまいります。

 

 続いて、5つの基本目標でございます。

 まず、1つ目の基本目標といたしまして 「快適でにぎわいのあるまちづくり」 でございます。

<道路網の整備>

 便利で機能的な産業活動、町民生活の快適性、利便性そして安全性の確保には道路整備は欠かせません。

 しかしながら、町道の状況は、経年変化や産業活動等により老朽化や損傷が進んでいることから、道路の改良、維持管理に力を注ぎ、安全に安心して利用ができる道路の整備を進めてまいります。整備にあたっては、本年度も引き続き国の社会資本整備総合交付金を活用し、優先順位を十分に考慮し、町道の舗装打ち換えを進めてまいります。

 寒川北インターチェンジへのアクセスと東西方向を結ぶ広域的な幹線道路に位置付けられている都市計画道路宮山線につきましては、県による事業化が進みはじめたことから、引き続き地域の実情に合った整備を県とともに進めてまいります。また、本路線と接続します町道宮山倉見13号線につきましては、取り付け部分の交通協議を実施してまいります。

 小出川改修に伴う聖天橋架替事業につきましては、本年度内の供用開始に向け、県・茅ヶ崎市とともに引き続き事業を進めてまいります。また、その他の橋りょうの計画的な維持管理を図るため、橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、本年度は寒川大橋、左岸用水路第11号橋、左岸用水路第15号橋の3橋の補修工事に着手してまいります。

<公共交通網の整備>

 公共交通網の整備につきましては、JR相模線倉見駅のエレベーター設置などバリアフリー化に引き続き取り組むとともに、県や沿線自治体及び経済団体と連携し、JR東日本と輸送サービスの改善に努めてまいります。

 広域連携の取り組みとしての寒川駅・海老名駅間の路線バスにつきましては、本年4月より実証運行から本格運行に移行し、町域を越えた町民の移動手段を確保するとともに、さらに藤沢市、茅ヶ崎市との広域連携による新たなバス路線の導入につきましても、交通事業者と協議を進めてまいります。

 また、コミュニティバス「もくせい号」の運行につきましては、町民の皆様からお寄せいただきましたご意見や利用実績等を踏まえ、運行内容を検証しながら、継続してまいります。

<公園・緑地等の整備>

 公園・緑地等の整備につきましては、町民の皆様が安心して集える場を提供してまいります。

 さむかわ中央公園においては、町内利用者はもとより町外からの利用者も多く訪れ、にぎわいをみせていることから、子どもからお年寄りまでが安心して利用できる公園づくりを進めるため、本年度におきましては、幼児用の遊具を設置してまいります。

<下水道・河川の整備>

 公共下水道につきましては、引き続き施設の老朽化対策や耐震化対策に取り組むとともに、浸水、冠水の解消に向けては、雨水幹線枝線整備を基本に既存施設の機能確保に努め、河川管理者とも連携しながら雨水対策を進めてまいります。また、将来にわたる下水道事業の継続に向け、経営基盤の安定化に取り組んでまいります。

<環境美化の推進>

 町民の皆様や町内の事業所及び町が協働して進める環境美化運動につきましては、本年度も相模川美化キャンペーン、春・秋のまちぐるみ美化運動、目久尻川・小出川美化キャンペーンを環境美化活動の4つの柱として実施し、環境美化の推進を図るとともに、環境美化意識の高揚を図ってまいります。

 さらに、最近、町内においては野良猫の増加により、民家敷地内での糞尿被害に関する苦情が寄せられていることから、今後はより一層飼い主に対して、猫等の糞等の始末や屋内飼養の努力義務などマナーの啓発を図るとともに、無秩序な繁殖を防止するため、野良猫に対する不妊・去勢についての助成を継続してまいります。

<土地利用の適正化>

 現在、改定作業中の町都市マスタープランにつきましては、町民意見交換会、産業まつりなどで多くの町民の皆様から直接ご意見をお伺いしているところであり、本年度末の改定をめざして計画の取りまとめを行ってまいります。

<市街地整備の推進>

 寒川駅北口地区につきましては、土地区画整理事業により、本町の中心地としてふさわしい環境の整備を進め、昨年までに公共施設の整備工事が完了したところであり、本年度は本換地処分に向けた手続きを進め、事業の完了に努めてまいります。なお、本換地処分にあわせ、同地区の町名変更や同地区北側区域の住居表示を実施してまいります。

 また、寒川駅南口の整備につきましては、北口地区とのバランスを踏まえ、現在の本町の状況に合わせた駅前広場や交通計画の調査研究を行うとともに、関係機関や関係権利者のご意見をお伺いしながら取り組んでまいります。

 ツインシティ倉見地区のまちづくりにつきましては、町総合計画「さむかわ2020プラン」に基づく都市未来拠点として、交通の結節点にふさわしいまちづくりに向け、引き続き地権者の皆様と合意形成に取り組んでいけるよう県との調整を進めてまいります。

 また、まちづくりの核となる東海道新幹線新駅の設置につきましては、「リニア中央新幹線開業後は、東海道新幹線のダイヤの過密度が緩和されるため、現在応えられない請願駅設置要望など新駅設置の余地が高まる。」との考えが、JR東海から示されております。そのリニア中央新幹線につきましては、東京と大阪を結ぶ計画の第一段階となる品川・名古屋間での工事が本格的に着工されるなど、倉見地区への新駅設置の可能性は高まってきているものと捉えております。町といたしましても、期成同盟会の一員として、新駅設置に向けた取り組みを継続してまいります。

 本町の新たな産業の拠点として位置付けている寒川南インターチェンジ周辺の田端西地区のまちづくりにつきましては、県のさがみロボット産業特区エリア内にあり、さがみ縦貫道路の全線開通以降、土地需要が顕在化しております。

 当該地区においては、民間事業協力者の協力のもと、「寒川町田端西地区土地区画整理組合設立準備会」において、より具体的な検討を重ねており、21世紀型のインターチェンジ周辺整備として、新たな工業系まちづくりの早期実現に向けて取り組んでいるところでございます。

 今後とも、地元の発展や本町の発展のため、当該準備会をはじめ、地権者の皆様との具体的な協議を進めてまいります。

 

 次に、基本目標の2つ目は 「環境と共生したうるおいのあるまちづくり」 でございます。

<緑化の推進>

 本町に残された貴重な自然を大切に守り育てるとともに、産業まつり開催時に緑化フェアを開催するなど、本年度も引き続き緑化に対する意識の高揚や緑化の推進に努めてまいります。

<環境共生の推進>

 さがみ縦貫道路の全線開通により、今後ますます町内における土地利用の転換が見込まれ、確実に人の往来も増えてまいります。本町の魅力である豊かな自然環境を、町民共通の財産として次代に引き継いでいくため、本年度も町環境基本計画に基づき、環境保全に向けた取り組みを進めてまいります。

<公害の防止>

 環境の保全につきましては、さがみ縦貫道路の全線開通による大気環境や騒音の悪化等が懸念される中、本年度も町内2カ所のインターチェンジ付近における道路交通大気調査を実施するとともに、役場に設置されている県の大気汚染常時監視測定により町内の大気環境の把握に努めてまいります。

 また、道路交通騒音震動調査や臭気調査、町内2河川等での水質調査の実施等により、町内の環境状況の監視を継続していくとともに、県との合同立入調査や事業所を対象とした環境保全研修会などを開催してまいります。

<資源の有効活用の推進>

 町環境基本計画の重点プロジェクトであります、クリーンエネルギーの普及促進に向けた取り組みといたしましては、住宅用太陽光発電システム設置補助及び家庭用燃料電池システム(エネファーム)の設置補助ならびに電気自動車の購入補助を引き続き実施してまいります。

<廃棄物の適正処理>

 ごみの減量化、資源化は、基礎自治体共通の喫緊の課題でありますが、ごみの最終処分地、焼却施設を持たない本町においては、恒久的に重要な課題であります。

 5年ごとに見直しを図り、本町のごみ政策の基本方針等を規定する一般廃棄物処理基本計画の改定作業の中で、より一層のごみ削減を進めるための方向性を改めてお示しするとともに、これらの推進には、町民一人ひとりの取り組みが何より重要であることから、今後も様々な機会を通じて、ごみの減量化、資源化に向けての意識啓発に努めるとともに、減量化機器等の導入補助を通じて、ごみの減量化等を図ってまいります。

 併せて、廃棄された水銀使用製品を適正に回収することを目的とした法改正が昨年12月に行われたことを受け、蛍光管等水銀使用製品の分別収集を本年度から新たに実施してまいります。

 茅ヶ崎市とのごみの広域焼却施設である茅ヶ崎市環境事業センターにつきましては、設備等が老朽化していることから、効率的で安定的な運営を行うため、一昨年から3カ年計画で基幹的設備改良工事を行っております。また、同環境事業センター内にあり、昭和52年から稼働している粗大ごみ処理施設につきましては、施設の更新に向けて、具体的な施設内容を検討するための基本計画の策定を茅ヶ崎市とともに進めてまいります。

 さらに、循環型社会の形成をめざし、茅ヶ崎市との広域処理施設として、平成24年度より供用開始している寒川広域リサイクルセンターにつきましては、当該施設の運営管理を約18年間にわたり民間企業に任せる長期包括運営責任業務委託により、順調に運営管理が行われているところであります。今後もより一層の資源化に向け、町民・市民の意識啓発の拠点としての機能も含めて、施設の有効活用に努めてまいります。

 もう一つの広域処理施設である寒川町美化センターにつきましては、平成7年に稼働以来20年以上が経過したため、精密機能検査を行ったところ、処理は問題なく行われているものの、機械設備等の老朽化が否めない状況であることから、茅ヶ崎市と協議の上、施設機能の維持に向けての特別修繕を進めてまいります。

 次に、基本目標の3つ目は 「安心で生きがいのあるまちづくり」 でございます。

<健康づくりの充実>

 健康づくりの充実につきましては、平成20年度にさむかわ元気プランを策定し、健康増進のための様々な施策や事業に取り組んできたところですが、第2期計画が本年度で終了するため、これまでの進捗状況等の評価や分析、取り組みについての見直しを行い、平成32年度までを計画期間とした第3期計画を策定してまいります。

 生活習慣病予防においては、食生活習慣を改善するための教室や講座の開催、運動を習慣づけるためのさむかわwakuwaku(わくわく)体操の普及など、健康づくり事業を展開し、健康寿命の延伸を図ってまいります。

 がん対策につきましては、本年度から内視鏡による胃がん検診を選択可能とするほか、がんの早期発見、早期治療は大変重要であることから、がん検診対象者に対して、勧奨・再勧奨を行い、受診率の向上を図ってまいります。

 また、口腔ケアは、病気の予防や健康維持に効果があり、大変重要であると言われております。口腔ケアをテーマとした歯っぴーデーや健口(けんこう)フォーラムを開催し、その普及に努めてまいります。

 さらに、昨年より介護予防事業のひとつとして、お元気な高齢者が介護施設で行う自発的奉仕活動に対して、ポイントを付与する制度をスタートさせておりますが、今後も引き続き高齢者の社会参画と生きがいづくりを支援し、介護予防を推進してまいります。

 

<地域福祉の充実>

 子どもから高齢者まで誰もが安心で充実した生活が送れる地域社会の実現をめざし、町と町社会福祉協議会の計画を一体的に策定した町みんなの地域福祉つながりプランに基づき、地域福祉の充実に取り組んでまいります。

<高齢者福祉の充実>

 本町の高齢者人口は、本年1月1日現在12,320人で、高齢化率は、25.8%となり、昨年同期に比べ398人、0.8ポイントの増となっております。

 こうした中、本年度から地域の集いの場等に介護予防の専門的講師を派遣する事業を導入するほか、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるための地域包括ケアシステムの構築や地域包括支援センターの体制強化を図るとともに、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、生活支援・介護予防サービスの基盤整備を引き続き推進してまいります。特に、在宅医療・介護連携の推進につきましては、茅ヶ崎市との協同実施により、新たに(仮称)在宅医療介護連携推進室を設置してまいります。

<子育て支援の充実>

 急速な少子化や核家族化の進行などに伴い、育児不安や孤立化などが大きな社会問題となっており、行政をはじめ地域社会全体が一丸となって子育て家庭を支援していく必要があります。

 また、社会経済状況の変化により、子育て家庭からは経済的な支援施策の充実を求める声も大きくなっていることから、本町では町総合戦略の基本目標のひとつとして「子育て世代が安心して子どもを産み育てやすい環境をつくります」と掲げ、子育て支援施策のさらなる充実を目指しております。

 こうしたことから、本年度は子育て支援課を新設し、新たに子育て世代包括支援センター事業を開始することにより、子育て世代への支援を充実してまいります。

 同事業につきましては、ワンストップ拠点としての窓口を開設し、妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して、専門職による総合的な相談支援を提供するとともに、身近な家族の協力が得られず、育児に対する負担や不安が大きい退院直後の母子に対して、心身のケアや育児のサポートを行うことが産後ケアとして必要な支援であることから、病院や助産院において宿泊の機会や日中に休養する機会を提供するなど、その体制を確保し、安心して子育てができるよう支援してまいります。

 また、子育て支援施策の中でも特に子育て家庭からのニーズが高い、小児医療費助成制度につきましては、本年4月から通院に係る対象年齢をこれまでの小学6年生から中学3年生まで拡充し、子どもが安心して医療機関を受診できる環境を整えてまいります。

 保育につきましては、民間保育所であるさむかわ保育園の大規模改修工事に対して補助を行い、保育環境の充実を図るとともに、町子ども・子育て支援事業計画に基づき、昨年度から全ての園において一時預かり事業を実施することとなりましたので、継続して増加する保育ニーズに対応してまいります。また、保育士がキャリアアップ研修を受講する期間における代替保育士の雇用経費に対して新たに補助金を交付することで、保育士のキャリアアップを促進し、保育の質の向上と保育士の処遇改善を図ってまいります。

 なお、昨年の9月から母子健康アプリの運用を開始し、予防接種や健康診査のお知らせなどをタイムリーに情報提供しているところですが、本年度も引き続き利用者のニーズに合った的確な情報発信と登録の促進に努めてまいります。

<障がい福祉の充実>

 障がい福祉施策につきましては、多様化する相談ニーズに迅速かつ的確に対応することができるよう、町内に2カ所目となる新たな相談支援事業所を設置し、相談支援体制の強化・充実を図るとともに、障がいをお持ちの方が、住み慣れた地域で、安心して自立した生活が送れるよう、引き続き障がい福祉サービスの提供に努めてまいります。

 また、本年度末で現計画期間が終了する町障がい者福祉計画につきましては、関係法令等の改正内容や障がい者等のニーズを的確に把握のうえ、改定作業を進めてまいります。

 特別な支援を必要とする子どもに対しましては、町立の児童発達支援事業所である「ひまわり教室」において、引き続き支援してまいります。

<社会保障制度の推進>

 国民健康保険事業につきましては、健康寿命延伸の実現に向けて、被保険者に対し糖尿病をはじめとした生活習慣病の発症と重症化予防のために特定健診を実施し、受診結果に基づいた保健指導の充実を図るとともに、保健事業全般を継続して効果的に行うための実施計画(データヘルス計画)を策定してまいります。

 一方、高齢化の進行や医療技術の高度化などにより、医療費の増大が懸念されることから、引き続きジェネリック医薬品の普及による医療費の適正化や、保険料の収納確保に努めることで、被保険者の負担の公平を図るとともに、重複投薬による被保険者の身体的負担の軽減にも努めてまいります。

 後期高齢者医療事業につきましては、個別相談や啓発活動に努め、神奈川県後期高齢者医療広域連合と連携し制度の理解を深めてまいります。

 国民年金事業につきましては、引き続き藤沢年金事務所と連携を密にし、現役世代に公的年金制度の理解を深めるため、啓発活動や年金相談の充実に努めてまいります。

<防災対策の充実>

 防災対策の充実に関しましては、町民の皆様の生命や財産を守ることは最重要事項であります。昨年は熊本や鳥取でも地震が発生し、今や日本中どこで大規模な地震が発生してもおかしくない状況にあることから、甚大な被害が予想される巨大地震への備えは喫緊の課題でございます。また、大型化した台風やゲリラ豪雨などにより各地で水害が多発しており、地域に甚大な被害をもたらしております。

 こうした中、予測困難な災害に対し、被害を最小限にする減災という考えを基本に、町民一人ひとり、また家庭や地域における防災力の向上が欠かせない状況となっております。

 そこで、本年度につきましても、各種防災訓練をはじめとする研修会や講演会などの啓発事業に加え、民間企業との各種防災応援協定締結の拡大・充実を引き続き進めるほか、自主防災組織が実施する防災訓練経費への補助を行うことで、さらなる地域の防災対策の拡充を図ってまいります。

 また、防災体制の充実・強化を推進するために、各避難所における防災資機材の充実を図るとともに、新たに災害時優先電話機能がついたスマートフォンを導入配備してまいります。

 さらに、一昨年の豪雨による鬼怒川の堤防決壊をはじめ、近年水害による被害が増加していることを踏まえ、住宅への止水板等の設置工事に対する補助を引き続き実施し、浸水対策や被害の軽減を図るとともに、水防体制支援システムを活用し、迅速な水害情報の収集に努め、各種災害時協定も運用しながら、対応強化に努めてまいります。

 災害時に避難支援を必要とする独居の高齢者や障がい者などにつきましては、町避難行動要支援者きずなプラン(避難支援全体計画)に基づき、昨年度は避難行動要支援者名簿を作成いたしました。

 今後は、避難支援関係者とともに安否確認や避難誘導などについて協議を行いながら、支援の充実に向けた取り組みを進めてまいります。

 また、災害時の建物の倒壊による死者や負傷者をなくすため、木造住宅に対する耐震診断や耐震改修工事を促進するとともに、緊急輸送道路が災害時においてもその機能を確保できるよう、通行障害を引き起こすおそれのある沿道建築物の耐震化を図るため、耐震診断の促進を図ってまいります。

<消防・救急体制の充実>

 消防・救急体制の充実につきましては、高齢化に伴う救急需要の増加に対応するため、救急隊の増隊や老朽化した高規格救急車両の最新型高規格車両への更新や救急活動資機材などの充実により、救命率の向上に努めてまいります。

 また、地域を守る消防・防災の要として活躍している消防団につきましては、高性能防火衣等の装備、消防ホースやデジタル簡易無線機等の資機材を充実させ、団員の安全確保とともに消防団の強化を図り、町民の安全・安心に努めてまいります。

<交通安全・防犯対策の充実>

 交通安全対策につきましては、新入学児童への黄色い帽子の配布を引き続き行うとともに、警察などの関係団体との連携を図り、各種キャンペーンや交通安全講習会等を開催してまいります。

  放置自転車対策につきましては、歩行者などの安全で円滑な通行の確保及び良好な生活環境を保持するため、引き続き推進するとともに、寒川駅における自転車利用者の利便性や防犯面の観点から、南口・北口ともに自転車等駐車場を開設いたします。

 防犯対策につきましては、犯罪等の未然防止を図るため、防犯灯を増設するとともに、引き続き小・中学校に防犯カメラを設置してまいります。

 また、全職員による青色回転灯を装備した公用車での地域巡回活動を推進し、地域の見守り隊などの自主防犯活動団体と連携を図るほか、旧寒川交番に防犯アドバイザー及び防犯相談員を配置して、相談業務や警察等の関係機関と連携を図ることで、地域の見守り体制の充実に努めてまいります。

 なお、旧寒川交番につきましては、地域団体等の防犯活動の拠点としても活用していただき、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。

<地域活動の推進>

 地域活動の推進につきましては、昨年度より特別企画「若者・子育て世代編」を開催してまいりましたまちづくり懇談会や、地域担当職員制度を継続し、地域の皆様や地域コミュニティ団体等と地域課題を共有するとともに、その解決に向けた取り組みを進めてまいります。

 また、今年度も協働のまちづくりを進めていくため、公共的な課題の解決に向けた事業に対し、みんなの協働事業提案制度モデル事業の継続及びより良い制度とするための見直しを行うとともに、町民活動団体等によるアイデアや自発的で創意工夫に満ちた活動に対し、町も団体と協働して取り組んでまいります。

<平和意識の高揚>

 昭和60年に核兵器廃絶平和都市宣言を行っている自治体として、本年度も戦争パネル展の開催、地域の平和活動団体と連携して事業を実施し、戦争や核兵器の恐ろしさ、平和の大切さを次世代へ伝え、より一層の平和意識の高揚を図ってまいります。

<町民相談の推進>

 相談事業につきましては、各種相談の利便性を高めるなど、安心して相談ができる体制づくりについて、近隣市との連携も含めて引き続き進めていくとともに、インターネットの利用におけるトラブルや、年々手口が巧妙化している高齢者を狙った悪質商法などに対し、消費生活に関する講座の開催などにより、被害の未然防止に努めてまいります。

 また、自殺対策につきましては、昨年の自殺者数が全国で約22,000人と減少傾向にはあるものの、いまだに多くの方が自ら命を絶たれていることから、町といたしましても、自殺の傾向を示すサインに気づき、適切に対応ができる「命の門番」であるゲートキーパーを養成するため、引き続き研修会を開催するとともに、小・中学校とも連携を図りながら、「生きる」をテーマにした図書の配架を行うなど、自殺防止対策に取り組んでまいります。

<共に支え合う地域社会の実現>

 昨年3月に策定した第4次さむかわ男女共同参画プランに基づき、あらゆる分野で男女がお互いに人権を尊重し、いきいきと個性や能力を発揮できるように、男女共同参画社会の形成に取り組むとともに、子育てを応援する地域社会の実現に向け、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の啓発及び情報提供、学習機会の充実を図ってまいります。

 

 次に、基本目標の4つ目は 「豊かな心と文化をはぐくむまちづくり」 でございます。

<生涯学習の推進>

 生涯学習の推進につきましては、町の生涯学習推進計画である学びプラン第3期実施計画に基づき、町民だれもが、生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学び、生きがいのある充実した生活を送るとともに、人と人とのつながりや支えあいの中で、学んだことを活かしていけるよう、情報提供体制や学習機会の充実、生涯学習に参加しやすい環境の整備に努めてまいります。

 また、近年、個人や地域が抱える課題が多様化・複雑化する中で、社会教育のもつ「人づくり」、「地域づくり」といった機能がますます重要となっていることから、本町における社会教育活動を活性化させることで、町民相互の関係性を深め、住みよい地域づくりにつなげてまいります。

 各公民館につきましては、本年度より指定管理者制度を導入し、各館の管理・運営が民間事業者へと引き継がれるものの、本町の社会教育活動の拠点としての位置付けは変わりがないことから、町教育振興基本計画の基本理念である「よく学び よく遊び よく生きる」に基づき、民間事業者のノウハウ・技術・情報や人を取り入れることで、より町民の皆様に望まれるサービスの提供を実現してまいります。具体的には、開館日数を増やすとともに、小学生が企画・立案する事業や化学実験を体験できる講座など、子ども向けの講座をはじめ、各年齢層に合った様々な講座をこれまで以上に開催するほか、文化振興事業として、いずれも長い歴史のあるジュニア絵画展、日本の伝統文化の伝承としての書き初め大会、町青年会議所と共催で行っている文化講演会も引き続き開催するとともに、町民センターホールを使用してのサークル活動の発表の場としての合唱祭や音楽祭、ダンスフェスティバル等を開催してまいります。

 寒川総合図書館につきましては、昨年11月、開館10周年を迎え、記念事業として県内初の試みとなるジュニア司書講座や関連する講演会、様々な記念行事を開催する中で、図書館の魅力を大いに発信し、町民の皆様に大変喜ばれたところであり、昨年7月には、来館者数が延べ300万人を突破するなど、「図書館のある暮らし」が、本町の中でしっかりと根をはってきております。

 本年4月からは、多様化する町民ニーズに応え、将来的に持続可能な、質の高い図書館サービスを提供するため、指定管理者制度を導入いたします。

 今後も、「町民の皆様に喜ばれ、頼りにされ、いきいきとした図書館」であり続けられるよう、開館以来培ってまいりました、図書館法に基づく様々な分野での蔵書の収集・提供や、積極的に取り組んでまいりました展示事業、企画事業などのサービスを着実に指定管理者に引き継ぐとともに、地域や学校との連携など、さらに充実した取り組みを進めてまいります。

<スポーツ・レクリエーション活動の推進>

 平成27年度から5月の最終水曜日に全国一斉に実施される「チャレンジデー」に参加しておりますが、町民のスポーツ活動の推進ならびに健康増進を図るため、本年度につきましても引き続き参加し、町民総ぐるみで取り組むイベントとして開催してまいります。

 また、「町民のだれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめる事のできる生涯スポーツ社会の実現」に向け町スポーツ推進計画を平成24年度に策定し、様々なスポーツ推進施策を展開しておりますが、その中期計画が本年度で終了するため、町民のスポーツ活動の実態やニーズを調査・分析し、全体計画が終了する平成32年度までの後期計画を策定してまいります。

 なお、町営プールにつきましては、町民ニーズや施設の規模、整備手法など総合的な観点から検討してまいりました。その結果につきましては、公共施設等総合管理計画に位置付けをした上で、町営プールの土地所有者である県企業庁と調整を図りながら対応してまいります。

<幼児教育の推進・家庭教育の支援>

 家庭教育は、乳幼児期における「親子の絆の形成」にはじまる家族とのふれあいを通じ、「生きる力」の基礎的な資質や能力を育むものであり、家庭教育の充実は、子どもの健全育成や学力向上を図るために大変重要なものであります。そこで、親としての学びの機会や親子でふれあえる場となる講座等を引き続き開催するとともに、0歳から15歳までの発達段階に応じた子育て等のポイントをまとめた冊子を作成し、各家庭に配布することで、家庭教育のさらなる支援を進めてまいります。

<学校教育の推進>

 学校教育の推進につきましては、町総合戦略でも施策のひとつとして「学力の向上と家庭教育支援の充実」と掲げており、町教育大綱ならびに町教育振興基本計画に基づき、町と教育委員会が一体となって取り組んでまいります。

 確かな学力の定着につきましては、小学校3年生において町単独で実施している35人以下の少人数学級実施事業を継続するとともに、昨年4月より開始した、小学校では算数等、中学校では数学等の授業を15人から20人程度の少人数授業で実施するための少人数学習推進事業を継続し、学力の向上を図ってまいります。

 また、小学校全学年に導入している学力向上補助教材ならびに電子学習教材であるeライブラリーの小・中学校全校での利用にさらなる工夫を加えるとともに、家庭学習での活用機会を増やすための啓発を進めてまいります。

 児童・生徒の学力向上にあたっては、教職員の資質の向上が重要な要素となってまいりますので、小・中学校への教育指導員の配置を継続するとともに、教職員の多忙化を解消し、子どもたちと教職員が学習やふれあいの時間をつくれるように、小・中学校への学校支援員の派遣を拡充するとともに、校務の効率化や授業づくりの一助として、教職員全てにパソコンの配備を図ってまいります。

 また、小・中学校の学校研究の相互交流を深めている寒川学びっ子育成推進事業を継続・発展させ、教職員の授業力向上を図ってまいります。

 さらに、学力向上を図るためには、学校だけの学習ではなく、家庭での学習も重要であることから、「家庭学習のすすめ」を本年4月の学習の開始時に配布するとともに、塾などの補充学習の機会が十分に得られない子どもたちのために立ち上げた寒川にこにこ学習会につきましては、小学生が勉強に取り組むきっかけづくりとして、タブレットの導入などによる内容の拡充を図ってまいります。

 地域の教育力を子どもたちの教育のために生かしていただく「地域のせんせい」ふれあい推進事業につきましては、6年目を迎えます。これまで、授業や補充学習の場面では、子どもたちの確かな学力の定着のために大きな力を発揮していただくと同時に、教科外の諸活動においても、生きることの喜びや命の大切さを実感させ、人を思いやる心などの育成を図ることに大きな貢献をしていただいていることから、事業のさらなる充実を図ってまいります。

 特別支援教育につきましては、特別支援学級での教育をより一層充実させるとともに、通常学級に在籍する特別な配慮が必要な児童に対する支援についても進めてまいります。また、昨年4月には南小学校に特別支援学級を1学級新設し、障がいのある児童及び保護者の教育的ニーズに対応できる教育を進めてまいりました。

 本年度は、本町で2つ目となる通級指導教室「ことばの教室」を一之宮小学校に新たに設置するとともに、南小学校をパイロット校として進めているインクルーシブ教育の研究推進を発展させ、生活、学習の両面からの一層の充実を図り、「地域で育む」という理念に基づいた教育をめざしてまいります。

 さらに、子どもたちの学力向上のためには、授業に集中できる施設の環境整備は重要な要素のひとつであり、昨今の猛暑にあっては、健康保持の側面からも快適な学校施設環境の整備が必要であることから、昨年度は小・中学校の図書室に空調機を整備いたしましたが、本年度は全中学校の普通教室に空調機を設置することで、さらなる学習環境の改善を図ってまいります。

 また、老朽化が著しい旭小学校の給食室を改修し、施設の改善を図ることにより、子どもたちに安全であたたかくておいしい給食を引き続き提供してまいります。

 近年、スマートフォンや携帯電話を使用する際、子どもたちが危険に巻き込まれる懸念やネット上でのいじめ問題も心配されていることから、平成26年度より、ネットパトロール事業を実施し、子どもたちが情報あふれる環境においても、安心して学校生活を送れるよう取り組んでまいりました。今後、情報モラル教育の充実を図るとともに、保護者や町民の皆様への啓発や各学校との連携をより密にしながら、引き続き取り組んでまいります。

 また、いじめや不登校、子ども虐待問題など、子どもたちや保護者、ご家庭の様々な課題に対応するため、指導主事を中心とした相談体制を強化し、臨床心理士、巡回相談員、スクールカウンセラー、訪問相談員等の一層の活用及び連携を図りながら、教育相談が効果的に機能するよう努めてまいります。

 なお、現在、中学校給食の実施にあたっての準備を進めておりますが、子どもたちの「食」という極めて重要な事業であることから、導入の際の基礎要件を精査し、具体的な準備を進め、平成30年度中の開始に向け取り組んでまいります。

<青少年の育成>

 青少年の健全育成につきましては、子どもまつりやキャンプなどを開催し、子どもたちの自主性や協調性を育み、新たな仲間づくりの機会としてまいります。また、成人式の開催などを通じて仲間や恩師とのつながりを改めて確認することで、青少年が一人で悩みや問題を抱え込まずに、健やかに成長できるような施策を展開してまいります。

 併せて、青少年育成団体等への助成、支援を行うことで、活動の推進を図ってまいります。

 なお、放課後児童健全育成事業につきましても、すべての小学校区において、ふれあい塾と児童クラブを学校敷地内で運営しているという現状を生かした実施体制の構築に向け、調整を進めてまいります。

<地域文化の振興>

 町内には多くの文化財があり、文化財に親しみ、学ぶための文化財説明板がありますが、設置から20年以上が経過し見づらい説明板もあることから、それらの説明板を順次修繕し、地域文化の振興を図ってまいります。

 また、町指定重要文化財である全長50メートル、高さ5メートルの大きさをもつ前方後円墳「大神塚」の学術調査を本年度からスタートいたします。報告書につきましては、5年後にはまとまる予定でありますが、今まで明らかになっていなかった大神塚の形態や性格なども判明されると期待されるところでございます。

<地域間交流の推進>

 地域間交流の推進につきましては、国際交流基金を活用し、町内の国際交流団体と協働しながら、国際交流・国際理解活動の推進を図ることで、本町以外の地域で育まれた歴史・文化にふれることにより、本町の良さや個性を発見するだけでなく、町民との協働のまちづくりにも生かしてまいります。

 

 次に、基本目標の5つ目は 「魅力ある産業と活力のあるまちづくり」 でございます。

<商業の振興>

 将来における町内商業の発展には、大型店舗と個人商店それぞれが相乗効果を生み出せる商業環境をつくることが重要でございます。

 昨年度は地元商店会が中心となり、「ちょい吞みフェスティバル」や「町なか商店マップ」の完成を記念した「町なかスタンプラリー」などが行われ、多くのお客様で個人商店がにぎわい、地域の活気を感じることができたことから、引き続き商店街のさらなる魅力づくりに向けた取り組みとして、各個人商店への誘客を促進するために、にぎわい創出支援事業を継続するほか、寒川商業協同組合が取り組んでいる「すいせんカード事業」への助成など、地域コミュニティの担い手である個人商店への支援に努めてまいります。

 また、個人の消費活動が大きく変化し商業環境の厳しさが増す中では、各商業者のさらなる経営努力も求められる状況であることから、町内商業の振興に向け、町商工会とも連携しながら進めてまいります。

<工業の振興>

 工業の振興につきましては、町総合戦略の基本目標のひとつとして『地域全体で「さむかわ」の経済成長を支え、安定した「しごと」を育みます』と掲げており、昨年度からの取り組みである、寒川版エコノミックガーデニング推進事業をさらに進めることで、意欲ある地域企業が活動しやすいビジネス環境の創出と企業の成長ステージに応じた支援体制を整えてまいります。 

 創業支援につきましては、昨年見直した町創業支援事業計画に基づき産業振興課内に設置した、創業支援窓口を活用していただけるよう広くPRを行うとともに、創業に必要な融資に係る利子の一部を補助する制度を新たに構築し、町内で創業を考える方への支援に取り組んでまいります。

 また、中小企業の労働力不足・生産性向上を目的に産業用ロボット導入に向けた取り組みを進めるとともに、販路拡大に伴うホームページ等の作成に要する経費などを助成する補助制度を拡充することにより、販路拡大に向けた取り組みを支援してまいります。さらに、横の連携が少ないと言われる製造業者の結束を図るため、次世代経営者の研究会を立ち上げてまいります。

<農業の振興>

 農業の振興につきましては、本町の特産品でもあります、スイートピー、カーネーション、シクラメン等の花き類につきましては、若い生産者を中心に盛んに生産されており、町としても各種イベントで積極的にPR活動を展開していくとともに、花育活動としてフラワーアレンジメント教室などについて町温室組合、ならびにJAさがみと協力して開催するなど、今後も「花のまち湘南さむかわ」の定着に向けた取り組みを継続して進めてまいります。

 さらに、花き類とともに本町の特産品でありますメロンや梨といった既にブランドが確立されている果樹につきましては、商業、観光などとの連携により、さらに付加価値がつくような支援を図ってまいります。

  高齢化や後継者不足からくる担い手対策につきましては、国の補助制度を有効活用し、新規就農者への受入支援、また、法人による農業参入を関係機関と連携し積極的に支援してまいります。また、農地の適正管理がされていない遊休農地等につきましては、農業委員会とともに、農地中間管理機構を活用し、農地集積を促進してまいります。

多面的機能を有する緑豊かな水田を保全する支援としましては、昨年同様、一定期間の水稲作付けをしている市街化調整区域内にある水田に対する補助金による支援を行うことにより、水田面積の減少を食い止めることで、水田環境を維持してまいります。

農業基盤整備事業につきましては、予算を最大限効率的に活用し、農業用水路等の維持補修をしっかりと行いながら、老朽化に伴う施設の長寿命化に向けた調査を進め、改修計画の策定、改修の実施に向けての準備を進めてまいります。

<勤労者対策の充実>

 勤労者対策につきましては、勤労者福祉の向上と定住促進を目的に、町内に新築住宅を取得した方へ町の共通商品券を交付する勤労者個人住宅取得奨励事業の対象を中古住宅の購入まで拡大するほか、勤労者家庭の生活の安定を目的とした生活資金融資、教育費の負担軽減を目的とした教育資金利子補助等の継続支援を行ってまいります。

 就労支援策といたしましては、ハローワークと3市1町の合同開催による「湘南合同就職面接会」を実施するほか、障害者卓球大会を藤沢市、茅ヶ崎市、湘南地域連合、湘南地域労働者福祉協議会と合同で開催するなど、就労意欲が向上するような取り組みを進めてまいります。

<観光の振興>

 観光の振興につきましては、引き続き様々なイベントの企画や町内にある観光資源の再発掘を進めながら、町外からのお客様にも楽しんでいただけるような仕掛けづくりに町観光協会と協力して取り組んでまいります。

 また、寒川神社を核とした新たな観光拠点づくりにつきましては、町商工会、町観光協会、JAさがみ、寒川神社、町の5団体のトップを顧問とする「寒川町観光事業検討協議会」において取り組んでおりましたが、さらなる促進を図るため、昨年の8月に担当者を中心とした新プロジェクト会議を発足させ、具体化に向けての検討を進めているところでございますが、どのような課題があり、その解消のためにはどのような事業、施設が必要で、どのように事業を展開させることが実現への近道であるのか、民間主導での成功事例もよく研究しながら、引き続き検討してまいります。

 

(おわりに)

以上、平成29年度の町政運営にあたっての基本的な方針と主な事業につきまして、ご説明させていただきました。

 私はこれまでも、この町が心からあったかい町となるよう、町民の皆様とともに全力で取り組んでまいりましたが、町を取り巻く環境が刻一刻と変化し続けている状況においては、限られた行政資源の中で全ての課題に行政が対応することが困難な状況となってきております。

 こうした状況を町民の皆様と共有するとともに、様々な変化に適切に対応すべく、これからも基礎自治体として「変わる」のではなく、自らの意思、主体性を持って「変える」ことに歩幅を大きく取りながら、注力してまいりたいと考えております。

 今後も引き続き、町民の皆様とご意見を交わしながら、それぞれの役割の中で「住み続けたい、住んでみたい」と思われるような魅力ある、笑顔で暮らせるまちづくりに向けて全力で取り組んでまいります。

 つきましては、議員各位をはじめ、町民の皆様のより一層のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の平成29年度の施政方針といたします。

 

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