令和3年度 施政方針

更新日:2021年03月04日

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 本日、令和3年寒川町議会第2回定例会3月会議にあたり、令和3年度予算案をはじめ関係諸議案を提出し、審議をお願いするわけでございますが、予算案等の提案に先立ちまして、私の町政に対する基本的な考え方や施策の概要について申し述べ、議員各位ならびに町民皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

(はじめに)

 町議会におかれましては、より開かれた議会をめざし、議会改革を推進する中、先月行われました町議会議員選挙により、新たな顔ぶれによる議会が構成され、スタートしたことに、心からお喜び申し上げます。

 現在は、新型コロナウイルス感染症への対応に全力を注いでいる状況でありますが、これからも町民の代表である議員の皆様と、ともに力を合わせながら、町民皆様の安全・安心と、こころ豊かな暮らしの実現をめざしてまいります。

 さて、本年2月の内閣府月例経済報告では、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」とされ、「先行きについては、緊急事態宣言の解除後も感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」とされております。

 こうした社会経済情勢の中、町の財政状況も依然として予断を許さない状況ではありますが、先行き不透明な中でも今から取り組むべき事業や、町民生活に直結する重要な事業については、積極的かつ効果的に進めるとともに、持続可能なまちづくりに向け、全力で取り組んでまいります。

 

(町政に対する基本的な考え方)

 それでは、町政に対する基本的な考え方について申し上げます。

 本来であれば、昨年度は町制施行80周年記念の年で、様々なイベントを通じて、町民皆様とともに喜びを分かち合う年でございました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、新しい生活様式などを取り入れた行動変容を余儀なくされ、多くのイベント等も中止となり、地域経済も疲弊し、社会全体に孤独感・閉塞感が満ちあふれ、現在も全世界が新型コロナウイルス感染症との闘いを続けている状況でございます。

 本町におきましても、地域の実情を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策方針を定め、役場内の保健医療専門職で構成する保健対策ケアチームのもと、適時適切な感染症拡大防止対策をスピード感をもって検討・立案・実施するとともに、緊急経済対策については、今を生き抜くための緊急支援と経済活動の回復に向けたV字回復の2つの対策フェーズごとに、町民皆様の声を反映した取り組みを講じてまいりました。

 具体的には、感染症拡大防止対策として、コロナ禍における避難所や町内小・中学校、子育て支援施設等における感染防止対策の強化や、家庭学習のための通信環境の整備、自粛生活を続ける高齢者に対する集合型から自宅型への介護予防事業の転換、65才以上の高齢者に対するインフルエンザ予防接種の自己負担額の無償化などを実施するとともに、小児医療費助成制度については、地域経済の縮小に伴う個人所得の減少の中でも子どもたちが適切に医療機関を受診できるよう、本年度から所得制限を撤廃することといたしました。

 また、本町の新型コロナウイルスワクチン接種については、国内初となるLINEを活用した予約システムを構築するなど、遅滞のないワクチン接種を通じて、町民皆様の利便性向上と、生命・健康・暮らしを守ることに全力で取り組んでいるところであります。

 また、緊急経済対策として、国の持続化給付金制度の対象外となる事業者に対する中小企業事業継続緊急支援給付金制度の創設・拡充や中小企業販路拡大補助金制度の創設、プレミアム率66.6パーセントと過去最大規模のプレミアム付き商品券の発行、期間限定での町内5小学校の全児童を対象とした給食費の無償化、料理飲食業協会主催による応援感謝プロジェクトへの支援、ひとり親家庭等へのプレミアム付き商品券の無償配付などを実施してまいりました。

 新型コロナウイルス感染症については、収束のめどが立っておらず、今後も予断を許さない状況であることから、行政の最優先使命である「町民の暮らしにおける安全・安心の確保」と「地域経済の回復」について、長期的な視点を持ちながら全力で対応してまいります。

 こうした状況の中、本年は新たな総合計画である寒川町総合計画2040及び第2期となる、まち・ひと・しごと創生総合戦略のスタートの年であります。

 新たな総合計画については、自治基本条例を改正し、総合計画に基づいてまちづくりを行うことを町の責務として明確にするとともに、「町民と町が協働するまちづくり」をまちづくりの理念とし、2040年までの20年間の長期展望のもと、まちの将来像を「つながる力で 新化するまち」と定めました。その実現に向け、本年度から令和6年度までの4年間の具体的な取り組みを定めた第1次実施計画に基づき、選択と集中の考えのもとスピード感を持った町政運営に努めてまいります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略については、少子高齢化・人口減少への対応が依然として課題であることから、安定した仕事の創出をはじめ、町の認知度向上や移住・定住の促進、子育て支援や教育環境の充実、安全・安心なまちづくりと若者の町政への参画促進のほか、withコロナ時代に対応するICT技術の活用といった新たな視点も取り入れながら進めてまいります。

 そのため、多様化する町民ニーズに対して常にアンテナを張りめぐらし、その本質を見極めながら適時適切な政策を構築するとともに、効果的かつ効率的な対応を可能とする行政組織の見直しを実施してまいります。

 また、課題である公共施設等の老朽化・更新財源問題については、老朽化が進む公共施設等を全て更新した場合、健全財政を維持することが困難であることから、公共施設等の再編に向けた計画策定を進めてまいりました。本年度からは、当該計画に基づく対策を実施することとなり、教育施設の再編や公共施設の複合化、既存建物の長寿命化など、財政負担を軽減しつつ、住民サービスの維持・向上と公共施設の最適配置をめざしてまいります。

 こうした取り組みを進めるためにも、地域主体・町民協働によるまちづくりを町政運営の基本とし、町民皆様と対話を重ね、人口減少社会の中でも「若い世代からも選ばれる町」をめざしてまいります。

 

(主な事業)

 それでは、本年度に実施する事業につきまして、総合計画の6つの基本目標から構成される実施計画の体系に沿って、新規事業を中心に順次ご説明申し上げます。

 

 はじめに、1つ目の基本目標といたしまして「まちづくりの原動力となるひとづくり」でございます。

<子育て支援の充実>

 まちづくりの原動力となる「ひとづくり」の基本となるのは、次代を担う子どもたちです。

 引き続き、子育て支援の充実に努めるとともに、子どもの育ちや発達の支援に関わる施策についても、一層の充実を図ってまいります。

 本年度は、昨年度に引き続き、寒川さくら幼稚園の認定こども園への移行に伴う園舎建替えに対する補助を行い、令和4年4月からの保育定員の増を図るとともに、旭保育園の床や内装等の大規模修繕工事に対して補助を実施してまいります。

 また、就学児童がいる保護者の保育ニーズに対しては、本年4月から、旭小学校敷地内に2つ目の新たな児童クラブを開所し、より多くの児童を受け入れることで子育て支援の充実を図ってまいります。

<子どもの育ち・発達の支援>

 産後ケア事業については、これまで産後4カ月としていた対象期間を産後1年に延長し、産婦の育児や授乳に対する不安な時期に適切な支援を行うことで、乳児の健やかな育ちにつなげてまいります。

<学校教育の推進>

 本町が活力と豊かさに満ち、持続可能なまちづくりを進めていくためには、次代を担う子どもたちの健やかな成長が大変重要です。急速なグローバル化や技術革新によって、子どもたちを取り巻く環境もかつてないスピードで大きく変化している今、国と国、地域と地域、人と人との国際的な関係が一層の深まりをみせるとともに、国境を越えた世界的規模の諸課題が私たちの生活に大きな影響を及ぼすようになっております。

 こうした中、将来、子どもたちが人工知能などの情報処理・技術革新に対応し、国籍に関わらず多様なつながりの中で一人ひとりが自らの人生を切り拓いていけるよう、今後の未来を見据えた教育を展開していかなければなりません。

 そこで、町として、本年を新たな教育元年と位置付け、外国語によるコミュニケーション能力及び情報活用能力の育成を図るという、大きく2つのアプローチにより、コロナ禍という社会的背景の中で急速に進むICT技術の普及と、それに伴って拡大するグローバル社会の中でも生き抜いていく力を育む特色ある教育の振興を進めてまいります。

 具体的には、これまでのAETと称した英語指導助手に代わり、Foreign Language Teacher、略してFLTと称する、特別な資格を交付された外国人英語指導者を町内すべての小・中学校に1名ずつ配置し、外国語授業はもちろんのこと、授業以外の学校生活において、外国人英語指導者と外国語を使用する機会及び生活体験の創出を図るといった全国的にも稀で県内では類のない特色ある教育を町の重要施策として位置付け、強力に推進してまいります。

 また、真の英語力を身につけるためには、未就学期も含めた家庭や地域における教育環境等が重要であることから、学校・家庭・地域が一体となったグローバル教育をめざし、本年度においてはまず児童・生徒や教職員、保護者等を対象とした体験型英語学習施設へのバスツアーを実施してまいります。

 さらに、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力及び人間性」といった、めざすべき3つの資質・能力とともに、学習の基盤となる情報活用能力を育成することが必要であることから、ICT機器を効果的に活用するため、各校にICT支援員を派遣しながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図ることで、児童・生徒の学力向上を図ってまいります。

 学校給食については、小・中学校の完全給食の実施を目的に、令和5年度の稼働に向け、安全・安心で、食育、アレルギー対応などへの配慮を反映した給食センター整備を進めております。

 本年度は、県企業庁の地域振興施設等整備事業を活用し、建設工事に着手するとともに、運用面での課題について、学校関係者のご意見を伺いながら進めてまいります。

<スポーツ・レクリエーション活動の推進>

 1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が、この夏に開催される予定ですが、BMXレーシング競技において、その代表として本町から畠山紗英選手が出場する予定です。

 本町から初めてのオリンピック出場選手が輩出されたことは、大きな喜びとともに期待が膨らみます。そうした選手が身近にいることで、スポーツへの関心が高まり、多くの町民、特に若い世代がスポーツを始めるきっかけになればと思うところであります。

 また、平成25年度より休止していた町営プールがいよいよ本年7月に再開いたします。子どもたちの笑顔と活気があふれる場となるよう取り組んでまいります。

 このように、スポーツは多くの町民に夢や希望、元気を与えてくれます。今後とも、町民のスポーツ活動を促進し、本町の活力を高めてまいります。

 

 次に、基本目標の2つ目は「生涯にわたって自分らしく暮らせるまちづくり」でございます。

<生涯を通じた健康づくりの充実>

 健康づくりは、「自分の健康は自分で守る」ことが基本であります。それには自発的な運動、バランスの良い食事、積極的な社会参加、そして自分の健康状態を客観的に見ることが重要となってまいります。

 多くの町民が自立して元気に生活できる期間を延ばすことを目的とした第2次さむかわ元気プランでは、「ひとのつながり、地域のつながり、つながる力で健康づくり」を基本理念としており、運動の習慣化や食育、社会参加の場の提供、健康診査・がん検診の受診率向上への取り組みや、生活習慣病の発症及び重症化予防を目的とした保健指導などにより、包括的に町民の健康維持・増進を図ってまいります。

<高齢者の健康づくりの充実>

 また、高齢者は複数の慢性疾患に加え、認知機能や社会的なつながりの低下といったいわゆるフレイル状態になりやすいなど、疾病予防と生活機能維持の両面からのアプローチが必要であるため、高齢者の保健事業と介護予防事業を一体的に実施いたします。

 実施にあたっては、住み慣れた地域での活動や医療・介護等のサービスに適切につなげ、必要な保健指導等の健康支援を一体的に実施していくことが重要であることから、町民主体の通いの場への積極的な関与(ポピュレーションアプローチ)のほか、フレイル状態とならないための予防啓発や健康教育を行い、より効果的に介護予防や健康意識の向上につなげることで、高齢者の健康づくりの充実を図ってまいります。

<地域福祉の充実>

 地域福祉の充実については、医療と介護の関係機関がお互いに顔の見える関係を構築し、ケアを必要とする人にスムーズなサポートが行えるよう、保健師や看護師などの医療職やケアマネジャーをはじめとする介護職など多職種にわたる人たちを対象とした研修を行うとともに、生活支援体制の充実のために、生活支援コーディネーターによる支援のほか、生活支援・介護予防サービス基盤整備推進会議を中心に、高齢者が必要とする生活支援等サービスに関しての基盤整備を進めてまいります。

<障がい福祉の充実>

 障がい福祉の充実については、障がいのある人が住み慣れた地域の中で安心して暮らせる社会をめざし、本年4月よりスタートする新たな障がい者福祉計画に基づき、障がい者の重度化・高齢化や「親亡き後」に備え、基幹相談支援センターを中心に相談支援機能の強化や緊急時の受け入れ体制の確保に努めてまいります。

 

次に、基本目標の3つ目は「こころ穏やかに暮らせるまちづくり」でございます。

<公園・緑地等の充実>

 公園・緑地等の充実については、かねてから要望のありました川とのふれあい公園のサッカーグラウンド芝生化再整備により高質化を図るとともに、川とのふれあい公園に接する相模川の堤防については、県がさがみグリーンラインの整備に着手しており、にぎわいや交流の場として、一層の期待を寄せるところであります。

<自然環境保全の推進>

 本町の魅力の1つである豊かな自然環境を町民共通の財産として次代に引き継いでいくため、環境団体との協働を通じて、自然や河川の環境保全に向けた取り組みを進めております。

 本年度は令和14年度までの12年間を計画期間とする第3次環境基本計画のスタート年度であり、町がめざす望ましい環境像である「環境と人が共生し、次世代まで良好な環境が受け継がれ“新化”するまち さむかわ」の実現に向けて、町民誰もが気軽にふれあうことのできる自然豊かなまちづくりに取り組んでまいります。

 また、地球温暖化及び気候変動対策については、自然災害の頻発化・甚大化の現状を踏まえ、対策の必要性が世界的にも顕著となっていることから、第3次環境基本計画の重点プロジェクトに「二酸化炭素排出実質ゼロのまちキックオフ!プロジェクト」を位置付けるとともに、「気候非常事態宣言」を表明し、町民皆様と危機意識を共有しながら、SDGsの目標の1つである「気候変動に具体的な対策を」に合致する施策を積極的に展開してまいります。

<住環境の向上>

 住環境の向上については、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことが懸念されることから、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、併せて空き家の活用を促進するため、空家等対策計画の策定作業を進めてまいります。

<資源循環の推進>

 資源循環の推進のためには、町民皆様に「ごみを資源に変える」という意識を持っていただくことが大切です。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで家庭から出るごみの量が増加する中、従来から取り組んでいただいている4R行動や生ごみ3キリ運動などによるごみの減量化や、資源物の分別収集の協力について、その目的や必要性をより一層認識していただくために、出前講座や広報誌、ゴミ野(ごみの)ゲンゾウ見聞録などを活用して積極的に発信してまいります。

 世界規模で社会問題になっているプラスチックごみや食品ロスなどについては、家庭での取り組みにとどまらず事業所の取り組みも非常に重要です。

 継続して事業所の訪問等を行うことにより、さらなる資源循環の推進に向けて協力関係の構築に努めてまいります。

 美化センターについては、施設・設備等の老朽化が否めない状況であることから、既存施設機能の適切な維持管理に努めるとともに、今後のし尿処理施設のあり方について検討を進めてまいります。

 また、茅ヶ崎市環境事業センターでは、粗大ごみ処理施設の建設に向けた業者選定、測量、地質調査業務を実施してまいります。

 

 次に、基本目標の4つ目は「安全・安心に暮らせるまちづくり」でございます。

<防災対策の充実>

 防災対策の充実については、「自助・共助・公助」の取り組みを推進するため、各種防災訓練をはじめ研修会や講演会など、町民が学び考える場を確保することで防災意識の醸成を図るとともに、自主防災組織・地域コミュニティによる支援活動や連携による防災力の強化を引き続き図ってまいります。

 昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大が発端となり、災害への対策が大きく変化した年でもありました。

 いつ発生してもおかしくない大規模災害から生命や財産を守る取り組みについて、近年の災害の検証や感染症対策、また、茅ケ崎市との消防広域化による消防組織の移行や震災対策の最新動向を踏まえ、地域防災計画の見直しを行い、被災時において迅速な復旧復興に資する取り組みができるよう、日頃から防災・減災の強化・充実を図ってまいります。

 また、広域避難場所や地域集会所、町役場等に設置しております防災行政無線移動系については、現在のアナログ方式からデジタル方式へ更新整備を行うことで、災害時における情報収集、情報伝達の強化を図ってまいります。

 本町は3つの河川があることから、水害対策が重要であります。

 日頃から住んでいる地域がどのような地形であるのか、どのような災害リスクがあるのかを把握しておくことが大変重要であることから、洪水ハザードマップやマイタイムラインを活用した啓発活動をより一層進めてまいります。

 加えて、最近の台風等による水害は、大半が、大河川からの越水による氾濫ではなく、そこで降った雨を排水処理しきれないことなどによる内水氾濫によるものであるため、浸水想定区域を示した内水ハザードマップを全戸配布し、水害時に計画的な避難活動が適切に行える環境整備を整えてまいります。

<消防体制の充実>

 消防体制の充実については、令和4年度からの茅ヶ崎市との消防広域化を円滑に実施するため、人事交流や合同研修及び訓練を実施するなど、万全の準備を進めてまいります。

 また、将来にわたり地域防災力の中核である消防団の強化に向け、全消防団員に新基準の活動服を貸与してまいります。

 さらに、消防本部に最新の救命資機材を搭載した高規格救急自動車を配備するとともに、消防団第6分団(小動)には、様々な災害に対応が可能な救助資機材を装備した4輪駆動の小型動力ポンプ付多機能型積載車を配備してまいります。

<交通安全・防犯対策の充実>

 防犯対策については、振り込め詐欺など特殊詐欺被害にあわないよう、新たに高齢者の方々を対象に特殊詐欺被害防止機能を有する電話機等の購入費用を助成いたします。

 なお、犯罪等の未然防止の観点から、地域等の要望を踏まえつつ防犯灯を増設するとともに、倉見駅自転車等駐車場に防犯カメラを設置してまいります。

 

 次に、基本目標の5つ目は「時代に最適化したにわいのあるまちづくり」でございます。

<道路の整備>

 寒川北インターチェンジへのアクセスと東西方向を結ぶ広域的な幹線道路に位置付けられている都市計画道路宮山線については、本年度より県による用地買収協議に入ります。本路線と接続する町道宮山倉見13号線等の取り付け部分などの協議をはじめ、引き続き地域の実状に合った整備を県とともに進めてまいります。

 また、聖天橋から県道45号線までを結ぶ町道大曲14号線の歩道拡幅事業については、本年度も沿線地権者と用地買収に伴う調整を引き続き進めてまいります。

<公共交通網の整備>

 公共交通網の整備については、倉見駅へのエレベーター設置が完了し、今後宮山駅の改修も進められ、より一層の利便性の向上が図られます。

 また、コミュニティバス「もくせい号」の運行について、町民皆様からお寄せいただきましたご意見や利用実績等を踏まえたうえで、運行形態等について検証しながら継続をしてまいります。

<下水道の整備>

 公共下水道の整備については、豪雨時における浸水や冠水の軽減に向け、雨水幹線枝線の整備等を行うとともに、既存雨水幹線においては堆積土砂の浚渫を実施することで、一層の機能確保を図ってまいります。

<市街地整備の推進>

 寒川駅南口の整備については、新たな駅前広場整備と周辺道路網のあり方、鉄道から路線バスへの円滑な乗り換え連携に向けた歩行者空間の確保及び交通ネットワーク化について、関係機関や関係権利者のご意見を伺いながら進めてまいります。

 本年度は、昨年度に確保した南口駅前広場用地の一部を利用し、暫定ではありますが駅利用者の利便性向上や交通の安全確保を進めてまいります。

 本町の産業集積拠点として令和元年より進めております田端西地区土地区画整理事業については、本年度に仮換地指定及び工事着手と伺っております。

 本地区の公共施設の整備改善を担う土地区画整理組合に対し、事業完了まで引き続き支援をしてまいります。

 ツインシティ倉見地区のまちづくりについては、引き続き総合計画に位置付けた都市未来拠点として、交通の結節点にふさわしいまちづくりに向け、地元の協議会や関係権利者の皆様と合意形成に取り組んでいくとともに、県との調整を進めながら、期成同盟会の一員として新駅誘致を継続するとともに、JR東海とまちづくりの深度化に向けた対話に努めてまいります。

<商業の振興>

 商業の振興については、大型店の出店のほか、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、営業自粛や時短営業を余儀なくされ、個人商店の経営が厳しさを増す状況であることから、引き続き支援を行っていく必要があります。

 昨年度は例年開催しておりましたイベント事業がほぼ中止となるなど、イベントでのにぎわい創出が難しい中、料理飲食業協会主催による応援感謝プロジェクトや、緊急経済対策として実施したプレミアム付き商品券などの活用により、町の店舗に活気を感じることができました。

 現在も引き続き大変厳しい状況でございますが、各商店が希望を持ち経営できるよう、商工会等と連携しながら支援を進めてまいります。

<工業の振興>

 工業の振興については、企業等の立地に対する税制優遇等の積極的な奨励制度の期間延長を行うほか、引き続き中小企業診断士を地域経済コンシェルジュとして委嘱し、町内企業の課題解決に向けて、企業の事業計画策定支援などの取り組みを進めてまいります。

 また、行政・商工団体・地域金融機関等で構成するエコノミックガーデニング推進協議会による支援ネットワークを活かし、地域経済の成長や企業が活動しやすい環境づくりなど、町内企業のニーズに合った効果的な支援を実施してまいります。

<農業の振興>

 農業の振興については、近年増えている未利用農地の活用に向け、農地利用最適化推進委員等と協力しながらマッチングを進め、農地の適正な維持管理を図るとともに、新規就農者や新たな法人等の参入を含め、地域農業の担い手確保に取り組んでまいります。

 また、農業基盤の整備については、令和元年度より開始しております一之宮地内の花川用水路の長寿命化工事を、国と県の補助金を活用して進めてまいります。

<観光の振興>

 観光の振興については、令和4年1月から放映が予定されているNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」において、本町を本領地とした梶原景時公が登場人物の一人であることから、地元自治体として、県や関連市町と連携した観光振興に取り組んでまいります。

 また、観光協会とも連携し、冬のひまわり摘み取り事業の拡充や、農業・商業振興にもつながる町の特色ある観光事業を推進してまいります。

 

 最後に、基本目標の6つ目は「まちづくりのための基盤づくり」でございます。

 

<町民との協働によるまちづくりの推進>

 私は、行政職員の職場は役場での執務だけではなく、地域も職場であり、それぞれの地域特性を理解したうえで地域課題の解決につなげていかなければならないと考えております。

 こうしたことを踏まえ、まちづくり懇談会の開催や、地域担当職員制度を継続し、地域の皆様や地域コミュニティ団体等と地域課題を共有するとともに、その解決に向けた取り組みを進めてまいります。

<多様な主体によるまちづくりの推進>

 多様な主体によるまちづくりの推進については、本年度からスタートする第5次さむかわ男女共同参画プランに基づき、一人ひとりの人権が尊重され、すべての町民がお互いの価値観・多様性を認め合い、いきいきと個性や能力を発揮できるよう、男女共同参画社会の形成に取り組むとともに、あらゆる分野での女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の啓発及び情報・学習機会の提供を図ってまいります。

<自律的な行財政運営>

 将来を見据えた自律的な行財政運営を行うためには、魅力的なまちづくりを進め、それを効果的に発信することで、移住・定住の促進等を図ることが重要です。

 本町における人口確保という点では、このたびのコロナ禍を受け、人々の居住地に対する価値観がテレワークの推進など新たな働き方の導入に伴って変化しており、本町にとっても移住者の獲得に向けた1つの契機であることから、こうした社会環境情勢や人々の価値観の変化をしっかりと捉えながら取り組みを進めることが重要であると考えております。

 こうした考えのもと、「『高座』のこころ。」を旗印として展開しているブランディングの取り組みについても、コロナ禍により生まれた新たな価値観や社会環境情勢をしっかりと捉えながら、ターゲットに直接的に訴求すべく、町外向けのプロモーションについても積極的に進めてまいります。

 具体的には、今後のwithコロナ時代において、リモート等によるコミュニケーションの確立が求められることから、本年は動画やSNS等をさらに活用した情報発信の強化に努めてまいります。

 また、これまで観光振興の視点から取り組みを進めてきたフィルムコミッションを町の認知度向上を目的とした取り組みと一体的なものとして捉え、メディアとの連携強化などバージョンアップしながら進めてまいります。

 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、デジタル技術の可能性をあらためて見直す契機ともなりました。われわれ自治体は、地方自治法の規定により、行政サービス等の提供にあたって、最少の経費で最大の効果をあげることが定められている中で、デジタル技術の活用は現代の個別化・多様化・複雑化したニーズにきめ細かく対応していくための非常に有効な手段であると考えております。

 こうしたことを踏まえ、24時間、365日、「持ち運べる役場」として、公式LINEアカウントの本年4月からの本格稼働をめざすとともに、機能やコンテンツの内容について随時更新・拡充等を行い、町民皆様の利便性向上につなげてまいります。

<まちづくりを支える組織と基盤づくり>

 また、コロナ禍においては、役場の業務のあり方や職員の働き方についても、あらためて見直す機会にもなりました。庶務事務や文書管理についてもデジタル化を進めるとともに、押印廃止やペーパーレス化にも積極的に取り組んでまいります。

 そして、町民のこころ豊かな暮らしの実現に向け、魅力的なまちづくりを行っていくためには、職員の能力向上が欠かせません。

 新たな組織では、これまでの総務課の職員力推進担当を課として独立させ、人事課を設置することで、町民皆様の負託に応えられるよう、真に必要な事業に果敢にチャレンジし、まちづくりをリードしながら「『高座』のこころ。」を体現する人材の育成に注力してまいります。

 

(令和3年度予算)

 以上、新たに実施する事業を中心にその一端を申し上げてまいりましたが、これらを実施していくための令和3年度予算でございます。

 令和3年度予算については、「『つながる力で 新化するまち』の実現に向け、各施策や事務事業の目標指標に沿った取り組み」、「新しい生活様式を踏まえた取り組み」、「歳入予算を確保するための取り組み」、の3つの予算編成基本方針のもとに編成いたしました。  歳入の一般財源の根幹をなす町税については、新型コロナウイルス感染症の影響により、個人町民税・法人町民税ともに落ち込むことが予測されるため、町税総額では、滞納繰越分を含め80億7,520万円と見込み、対前年度比では6.1%の減といたしました。

 予算規模といたしましては、一般会計総額は148億6,500万円、対前年度比2.0%の減とするとともに、国民健康保険事業特別会計をはじめとする4特別会計を合わせた全会計の予算額は、268億3,664万2千円、対前年度比で0.6%の減といたしました。

 

(おわりに)

 以上、令和3年度の町政運営にあたっての基本的な考え方と主な事業について、ご説明させていただきました。

 私はこれまでも、この町が心からあったかい町となるよう、町民皆様とともに全力で取り組んでまいりましたが、日本全体が人口減少、少子高齢化という構造的な課題を抱え、本町においても同様の状況が予測される今、この先を見据えた主体的な対応なくして、この難局を乗り越えていくことはできません。

 新型コロナウイルス感染症は人や物の移動の高速化やグローバル化などに起因して瞬く間に世界中に感染拡大し、現代社会が抱える様々な問題を見直す機会となったことからも、その意義はさらに増しております。

 こうした認識のもと、2040年までの20年間のまちづくりを展望した新たな総合計画がいよいよスタートいたします。

 私は、これまで先人たちがいにしえから受け継いできた「穏やかさ」「優しさ」「あたたかさ」や、そこから派生する人々の「心のつながり」こそが寒川町の特長であり、将来に渡って受け継いでいくべき大切なものであることから、今後まちづくりを進めるうえでも、様々な主体とのつながりを強め、町外へと広げていくことで相乗効果を生み出し、本町におけるまちづくりの原動力としてまいりたいと考えております。

 刻々と変化する社会経済環境と人々の価値観に対応し、町民のこころ豊かな暮らしを実現していくため、従来のやり方や考え方の延長線での対応や得意分野をさらに磨くだけではなく、社会変革に向け、新たな視点や新たな挑戦をもって変えるべきところは変えることで、寒川町の未来を切り拓いていくと決意するところであります。

 そのためにも、町民皆様とご意見を交わし共感を深めながら、それぞれの役割の中で「住み続けたい、住んでみたい」と思われるような魅力ある、笑顔で暮らせるまちづくりに向け、「着眼大局 着手小局」でまい進してまいります。

つきましては、議員各位をはじめ、町民皆様のより一層のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の令和3年度の施政方針といたします。

 

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