地震防災マップ
はじめに
私たちが暮らす大地は、普段はその変化を実感することはありませんが、長い目で見ると、地球に働くさまざまな大きな力によって常に変化しています。特に、多くの雨が降る日本では、水の力が大地に強く働いています。山から海に向かって流れ続ける水の力によって、山は削られ、その土砂が平野や海に運ばれて、地形は常に変化しています。
私たちの足元の大地は、これまでの自然の営みの積み重ねで成り立ってきており、このような現象は、今後も同じように続くと考えられます。例えば、過去に洪水にあった場所は、人工的に手を加えない限り、今後も同じように洪水にあう可能性が高いといえます。 また、土地の成り立ちは土地の性質の違いにも影響を及ぼします。例えば、大雨のたびに河川水が流れ込み土砂が堆積してきたような場所は、水分が多く締まりの悪い土砂で構成されていますが、海面の変化などで大雨でも水に被らなくなった場所は、地盤の締りがよく安定しているということがいえます。
このような土地の成り立ちは、その場所の地形を詳しく見ることで調べることができます。普段の生活の中では意識することのない微妙な土地の起伏を注意深く観察し、その拡がりや位置関係を地図にすることにより、その土地が、どのような自然の営みのもとに、どのように成り立ってきたかを推測することができるのです。例えば、かつて川が流れていた跡は、細く連続する低まりとして残され(旧河道)、洪水の際に押し流された土砂は、このような流路跡に並行する高まりを形成しています(自然堤防)。このような地形の違いを調べて地図に示すことを「地形分類」と言います。地形分類で土地の成り立ちを理解すれば、その場所の地盤などの性質も推測することができます。
このように、地形を調べて土地の成り立ちを知ることは、とりもなおさず、その場所に発生する災害を予測することにつながります。
本システムでは、このような考え方に基づき、国土地理院の土地条件図や過去の地図からわかる土地の成り立ちをもとに、その場所で留意すべき災害についての情報を提供するものです。
寒川町の土地の成立ち
寒川町は、全域が相模川とその支流が上流から運搬してきた土砂が周辺の土地や相模湾の浅い海底で堆積したことにより形成されたほぼ平坦な低地です。
このうち、東部は、今より10万年ほど前の、海面が今より高かった時期に形成された平地で、その後の海面変化により、現在では洪水時でも河川の影響が及ばない台地です。
台地は現在の相模川より高い位置にあるため、現在は侵食の場となっています。台地を刻む浅い谷では、大雨の際には水があふれるおそれがあります。
西部は、現在も相模川の影響が及ぶ可能性のある地域です。このうち、JR相模線に沿った地域は、周辺よりやや高く、洪水の際に土砂が堆積した高まりで、周辺に比べて比較的水はけがよく砂質の地盤であることが予想されます。また、相模川沿いは、相模川が洪水を繰り返してきたところであると考えられます。
このような土地の成り立ちから、寒川町では、今後も西部で洪水の可能性が考えられるほか、場所によっては地震の揺れと液状化に留意する必要があると考えられます。また、東部は比較的洪水の可能性が低く、地盤も安定していると考えられますが、目久尻川沿いの低地や台地上の浅い谷では、洪水、地震災害に留意する必要があると考えられます。
土地条件図(数値地図25000)
土地条件図は、昭和34年の伊勢湾台風による洪水・高潮被害が地形分類結果と深く関係していたことが発端となり、国土地理院で作成が開始されました。地形とその場所で発生しやすい災害現象とは密接な関係にあるため、地形分類の内容から受けやすい災害を推定することができます。土地条件図は、2万5千分1地形図の上に地形分類(山地、台地、低地など)を重ねて表示したものです。
地震災害と地形との関連
一般的に言われている地形と地震災害で受けやすい災害をまとめたものが次の表になります。この表は、今までの災害調査で得られた災害と地形の関係を整理したもので明確な基準ではありません。また、人工地形については、改変する前の地形や工法によって地盤の良否や受ける災害などが異なる場合があります。
明治前期の低湿地データ
「明治前期の低湿地データ」は、明治13年~23年に作成された地図(第一軍管二万分一迅速測図原図及び仮製二万分の一地形図)を基に、当時の土地利用の状況から、湖沼、水田、湿地など、水に関係する土地の区域を抽出したデータで、明治後期以降に埋立てや盛土が行われた土地について、液状化の発生要因で土地の性状を判断するうえで、参考となる基礎資料として利用することができます。
液状化が発生すると、構造物の傾斜や地盤沈下など甚大な被害をもたらします。この液状化の発生要因には、土地の地盤条件として、「地下水位が高いこと」、「地層に砂質層があること」、「地盤の締まりが緩いこと」の3条件が深く関与しており、旧河道や旧水部を埋め立てた場所は液状化を起こしやすく、このような土地の性状(地形)を事前に把握することが防災対策として有効であるとされています。
注意 データ作成に使用した原典資料は、位置の基準である三角点が整備される前に作成されたため、「明治前期の低湿地データ」の位置は、場所によってはかなりの誤差を含んでいることもありますので注意が必要です。
提供:国土地理院
この記事に関するお問い合わせ先
町民安全課災害対策担当
住所:253-0196
神奈川県高座郡寒川町宮山165番地
電話:0467-74-1111(内線:463、464)
ファクス:0467-74-2833
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更新日:2019年08月08日