令和5年度 施政方針

更新日:2023年02月22日

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 本日、令和5年寒川町議会第1回定例会3月会議再開にあたり、令和5年度予算案をはじめ関係諸議案を提出し、審議をお願いするわけですが、予算案等の提案に先立ちまして、私の町政に対する基本的な考え方や施策の概要について申し述べ、議員各位ならびに町民皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(はじめに)

 町民皆様からの負託により町政をお預かりさせていただき、3期目の3年半が過ぎようとしております。これまでの間、まさに新型コロナウイルス感染症が猛威をふるう中で、明るい未来の訪れに期待しながらも町民生活への影響を可能な限り軽減し、一貫して人々の心が通い合う「あったかい町」を町民皆様とともに築いていくことに全力を傾注し、町総合計画2040に掲げるまちの将来像である「つながる力で 新化するまち」の実現に向け、「着眼大局、着手小局」の考え方のもと、「選択と集中」の観点から限りある行政資源を効率的かつ効果的に活用し、これまでにない様々な施策・事業に果敢に取り組んできたところであります。

 残された任期はわずかではありますが、引き続き、町民皆様の期待に応えられるよう、全力で取り組んでまいります。

 さて、本年1月の内閣府月例経済報告では、「景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。」とされ、「先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。」とされております。

 こうした社会情勢の中、町財政状況につきましては健全性を維持しているものの、エネルギー価格や物価高騰などにより行政運営経費の増加が予測される中、公共施設の更新問題のほか、デジタル技術を活用した新たな行政サービス需要の高まりなど、町を取り巻く社会経済環境は急速に変化し続けている状況であります。しかしながら、町民皆様の負託に応えていくために行政は立ち止まるわけにはまいりません。今後とも、町民皆様の生命・財産・暮らしを守ることを行政の最大使命と強く認識し、皆様から寄せられる行政ニーズにもしっかりと応えられるよう、景気の下振れリスクや国・県の動向を注視しつつ、町民生活に直結する重要な事業につきましては、積極的かつ効果的に進めることで持続可能なまちづくりを進めてまいります。

(町政に対する基本的な考え方)

 それでは、町政に対する基本的な考え方につきまして申し上げます。

 先に申し上げましたとおり、町を取り巻く社会経済環境が急速に変化している中、それに対応する町政運営のあり方といたしましては、常に一歩先を見据えた視点を持ち、様々なつながりから新たな発想やイノベーションを生み出すことで、少子高齢化・人口減少や多様化する町民ニーズ等の課題に積極的かつ柔軟に取り組んでまいります。

 本年度は、国において「こども家庭庁」がスタートする年度であり、昨年12月の国の第2次補正予算においても、その関連事業として「出産・子育て応援交付金事業」が位置付けられ、町でも取り組みを始めているところです。いわゆる「こどもまんなか社会」に向けた取り組みが本格化する年度であり、町においても、子どもに対するさらなる取り組みの充実が求められているところです。

 また、新型コロナウイルス感染症との闘いにつきましては、丸3年が経過し、この間、町といたしましても、地域の実情を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策方針を定め、適時適切な感染症拡大防止対策や緊急経済対策等、町民皆様の声を反映した取り組みを進めてまいりました。こうした中、国においては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを本年5月8日に現行の「2類相当」から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針が決定されました。この「5類」への移行にあたり、3月上旬を目途に感染症に対する医療提供体制や公費負担など具体的なあり方が明らかにされる予定です。町といたしましては、国や県の動向を注視し、引き続き、町民皆様の暮らしにおける安全・安心の確保に向けて着実に対応してまいります。

 さらに、自治体DXの推進につきましては、国において「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」が決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化~」が示され、デジタル庁が発足しました。町といたしましても、本年度、新たにデジタル推進課を設置し、デジタル技術の活用を通じて、町民皆様の利便性向上を図るとともに、 デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を進めることで、人的資源をさらなる行政サービスの向上につなげてまいります。

 公共施設の老朽化・更新問題につきましては、公共施設の6割以上が建築後30年以上経ち、劣化が進行しているため、修繕に多額の費用を要する状況にあり、計画上の財政シミュレーションの結果、施設数を減少させても、施設の再編・統廃合・複合化も視野に入れた対策を実施しなければ将来的に町財政全体で資金不足に陥ることが予測されます。

 そのような状況の中、児童生徒の学びと生活の場である学校の安全を第一と考え、寒川町公共施設再編計画に基づき、本年度は、旭小学校、小谷小学校及び旭が丘中学校の外壁修繕工事を予定しております。また、町立小・中学校の適正規模・適正配置等につきましては、将来の寒川の子どもたちにとって望ましい教育環境の確保に向け、寒川町立小・中学校適正化等検討委員会での検討結果等を踏まえつつ、学校再編後の将来ビジョン等につきまして、町民皆様の理解を得ながら一定の結論を示してまいります。さらには、公共施設の統廃合・複合化、既存施設の長寿命化等により、財政負担の軽減を図るとともに、新たな取り組みとして、今後の公共施設の更新・改修・修繕・維持管理などに民間資金を活用したPPP/PFI手法の優先的導入など、民間事業者のノウハウやアイデアを積極的に活用し、これをもちまして、町民サービスの維持・向上と公共施設の最適配置に取り組んでまいります。

 広域行政につきましては、これまでも地域的な結びつきの強さを生かした取り組みを進めてきたところでありますが、先行き不透明な社会経済環境の中では、市町が連携することで効果的な事業展開が図られるとともに、財政面からも各種補助金の獲得が可能となるなど、広域行政の優位性は年々高まりを見せており、引き続き取り組みを進めてまいります。

 このような状況を踏まえ、本年度においても、まち・ひと・しごと創生総合戦略に位置づけております、安定した仕事の創出をはじめ、町の認知度向上や移住・定住の促進、子育て支援や教育環境の充実、安全・安心なまちづくりと若者の町政への参画促進を重要施策と位置づけ、持続可能な行財政運営を進めてまいります。

(主な事業)

 それでは、本年度に実施する事業につきまして、総合計画の6つの基本目標から構成される実施計画の体系に沿って、新規事業を中心に順次ご説明申し上げます。

 

 はじめに、1つ目の基本目標といたしまして「まちづくりの原動力となるひとづくり」です。

 

<子育て支援の充実>

 町総合計画2040第1次実施計画における施策の1丁目1番地として「子育て・子育ち・教育の推進」を掲げ、町の次代を担う子どもたちの健やかな成長を支えるために、様々な事業を展開しているところですが、少子化の進行を踏まえ、さらなる対策が求められている中、子育て支援の充実につきましては、小児医療費の助成に関して、本年10月より、その対象年齢を現行の中学3年生相当までから高校3年生相当までに拡大し、子育て家庭の経済的支援を図ってまいります。

 また、乳幼児の保育需要が増加傾向にある状況を踏まえ、民間保育施設等の運営や環境整備に対する支援をしっかりと継続し、今後も待機児童対策を講じることで、子どもを産み育てやすい環境を整備してまいります。

 児童クラブにつきましては、共働き家庭の支援という側面からも、放課後に児童を受け入れる場として、保護者も児童も安心できる環境づくりが必要となりますが、現在、児童クラブにおいて待機児童が生じております。こうしたことを踏まえ、引き続き、待機児童が解消できるよう、受入の拡充等、子育て支援の充実に努めてまいります。

 こうした取り組みを通じて、湘南地域で最も子育てしやすいまちを目指してまいります。

 

<子どもの育ち・発達の支援>

 子どもの育ち・発達の支援につきましては、3歳6か月児健診時の眼科健診において、視覚の異常を即時に判定できる屈折検査機器を新たに導入し、視覚異常の早期発見・早期治療の促進を図るとともに、病気等の治療で骨髄移植等を行ったことにより、免疫機能が低下または消失した児童に対する予防接種再接種費用の助成制度を創設し、経済的な負担の軽減を図ることにより、子どもの健やかな成長の支援を促進してまいります。

 

<学校教育の推進>

 学校教育の推進につきましては、 急速な変化により予測困難となるグローバル社会において、子どもを取り巻く環境も変化し、学校が抱える課題も複雑化している中で、子どもたちの生きる力を育むため、一昨年度を教育元年と位置づけ、外国語教育とICT教育といった大きく2つのアプローチにより特色ある教育の振興に努めてまいりました。

 外国語教育につきましては、県内で初めて外国人指導者を全校常駐配置し、外国語の授業はもちろん、日常生活の中でも外国人指導者と英語で会話する機会を増やし、英語を活用する場面を創出することで、子どもたちにとって、英語の活用だけでなく、外国人指導者と学校生活を共に過ごし、加えて、学校教育外においても、「さむかわイングリッシュ・キャンプ」による英語講座や体験型英語学習施設への「公募バスツアー」を実施し、英語を活用する機会を一層充実させることで、外国語によるコミュニケーション能力の育成を通じて、これからのグローバル時代に活躍する子どもたちを育むといった本町の特色となる教育振興を引き続き進めてまいります。

 また、ICT教育につきましては、GIGAスクール構想の推進により、町内の小中学校では、1人1台のタブレット端末を授業の中で積極的に活用し、児童・生徒が興味や関心を持って学習に取り組む姿勢が見られるようになった一方で、学校現場からICTに関する専門的な問合せや技術的支援のニーズも高まっていることから、ICT支援員の学校への訪問可能回数を増加させ、学校現場の支援ニーズに対する適時適切な対応により、さらなる充実を図ることで、子どもたちの情報活用能力の育成を図ってまいります。

 昨今の教職員の多忙化問題につきましては、その背景として、社会環境の変化に伴い、学校を取り巻く環境が複雑化、多様化しており、学校に求められる役割が拡大していることが挙げられます。今後も教職員が子どもたちと向き合う時間を確保しながら、学力向上を目指す授業改善や教材研究にも力を注ぐことができる環境づくりに向け、教職員の働き方改革の一環として、給食費の公会計化や統合型校務支援システムを導入し、校務事務の効率化を進めるとともに、教育相談体制をさらに強化するなど、教職員の負担軽減を図り、そこから生み出される時間を有効的に活用することで教育の質的向上を図ってまいります。

 また、学校給食につきましては、いよいよ学校給食センターが本年度2学期から稼働し、中学校も含めた完全給食がスタートいたします。寒川町学校給食センター整備基本構想・計画の基本方針として掲げた「未来へむかってみんなが笑顔で楽しく食べる」給食の実現に向け、最新の調理環境での手作りによる衛生的でおいしい給食提供はもとより、専用のアレルギー調理室によるアレルギー対応、地産地消の推進、食育スペースの活用など、総合的な食の発信基地としての取り組みを進めてまいります。

 

<スポーツ・レクリエーション活動の推進>

 スポーツ・レクリエーション活動の推進につきましては、スポーツを通じた交流の創出や地域の活性化に向けて、昨年より本町をホームタウンとして、バスケットボールチームの湘南ユナイテッドBC、女子フットサルチームのアニージャ湘南が加わりました。シンコースポーツ寒川アリーナといった身近な施設においてプロの公式戦などを間近に見る機会が創出され、スポーツの魅力と楽しさを肌で感じていただくとともに、トップアスリートと連携し、学校や地域、町のスポーツイベント等において、様々な年代の方がアスリートと触れ合う機会の創出・交流を通じて、地域の一体感を醸成し、町の誇りという意識形成にもつながる環境づくりを進めてまいります。

 また、スポーツ環境の充実といたしまして、本年3月に川とのふれあい公園サッカー場の芝生化整備が完了いたします。また、本年5月にはさむかわテニスコートがリニューアルオープンし、コートには体に優しい砂入り人工芝の使用のほか、夜間照明を設置し、幅広い方々の利用ニーズを実現いたします。

 さらに、シンコースポーツ寒川アリーナのサブアリーナと武道場においては、近年の猛暑日の発生頻度を踏まえた熱中症対策として、また、災害時の避難所として活用することを想定し空調設備を新たに設置いたします。

 今後も施設利用者のニーズを捉えつつ、公共施設再編計画に基づき計画的な改修を行うことで、町民皆様のスポーツ活動と健康維持増進を図ってまいります。

 

<社会教育の振興>

 社会教育の振興につきましては、町民皆様の学習活動を支える社会教育施設・情報拠点である寒川総合図書館において、本年秋には図書館の蔵書管理・検索等の業務システムの入れ替えを行うことで、子どもから高齢者まで利用しやすいサービスを提供してまいります。

 また、町内の貴重な文化財を後世に継承していくため、一之宮地区に所在する旧「広田医院」を本町初の国登録有形文化財として登録を目指しているところであり、正式に登録となった場合には、その活用方針等につきまして所有者や学識経験者等とともに検討してまいります。

 

<郷土教育の推進>

 郷土教育の推進につきましては、本年度は学校給食センターの開設や関東大震災から100年という節目の年にあたることから、文書館の収蔵資料を活用し、食育や防災という生活により近いテーマによる企画展の開催を通じて、町民皆様の郷土愛・シビックプライドの醸成に努めてまいります。

 

 次に、基本目標の2つ目は「生涯にわたって自分らしく暮らせるまちづくり」です。

 

<生涯を通じた健康づくりの充実>

 生涯を通じた健康づくりの充実につきましては、町の健康都市宣言において「健康は、生きがいのある充実した生活を送るうえで、もっとも重要で基本的な条件である」としております。この実現には、一人ひとりが主体的に「自分の健康は自分で守る」という意識を持つことが重要となってまいります。こうした個人それぞれの健康管理を支援するため、本年度新たな取り組みとして3つの施策を実施してまいります。

 まず1つ目といたしまして、胃がんリスク検診を開始いたします。この胃がんリスク検診を実施することにより、将来胃がんになるリスクを減らし、胃がんの罹患率を下げることが期待できます。

 次に2つ目といたしまして、今まで国民健康保険加入者及び後期高齢者医療保険加入者のみに発送しておりました、がん検診の受診勧奨通知について、社会保険加入者を含めた対象者全員に送付する取り組みを行います。町民皆様にがん検診を毎年定期的に受けていただくことで各々の健康管理に役立てていただきたいと考えております。

 そして3つ目といたしまして、がん治療を行なっているがん患者の方に対し、ウィッグ購入費の助成事業を実施いたします。がん治療による脱毛等の外見の悩みを解消することで、社会参加や復帰を後押しするとともに、経済的な負担軽減につなげてまいります。

 これらの新たな取り組みを活用していただき、ご自身やご家族の「健康づくり」につなげていただきたいと考えております。

 

<高齢者の健康づくりの充実><地域福祉の充実>

 高齢者の健康づくりや地域福祉の充実につきましては、本年2月1日時点の高齢化率は27.4%となり、令和7年末には28.4%となることが予想されます。こうした中、介護保険における要介護認定や介護給付費の増加が見込まれ、介護予防事業や高齢者の社会参加を促すための施策、また、地域で高齢者を支えるための認知症サポーターの養成やチームオレンジの活動など、これまでの取り組みをさらに充実させるとともに、令和6年度からスタートする第9次高齢者保健福祉計画(介護保険事業計画)の策定に向けて、国・県の施策等を勘案しつつ、町民皆様から様々なご意見を伺いながら準備を進めてまいります。

 

<障がい福祉の充実>

 障がい福祉の充実につきましては、障がいのある人もない人も、地域の中で安心して暮らせる社会を目指し、障がい者の重度化・高齢化や「親なき後(あと)」を見据え、町の実情にあった障がい者等の生活を地域で支える緊急時の体制強化を含め、現行の「寒川町障がい者福祉計画」に基づき、ライフステージに応じたサービスの提供に取り組んでまいります。

 また、関係法令等の改正内容や障がい者等のニーズを的確に把握の上、「寒川町障がい者福祉計画」の改訂作業を進めてまいります。

 さらには「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に基づき、医療的ケア児やその家族に対する支援策として、本年度には相談体制の整備に着手してまいります。

 

 次に、基本目標の3つ目は「こころ穏やかに暮らせるまちづくり」です。

 

<自然環境保全の推進>

 自然環境保全の推進につきましては、町・町民・事業所が一体となって2050年までに「二酸化炭素排出実質ゼロ」とすることを目標に地域の脱炭素化を推進してまいります。

 本年度の取り組みといたしましては、町民皆様の脱炭素化への参画が必要不可欠であることから、ゼロカーボン推進対策設備等導入に係る補助を継続するとともに、町主催イベントや町広報紙、啓発チラシ等を通じて、町民、事業所へ地球温暖化防止等に係る周知啓発を行うほか、藤沢市・茅ヶ崎市との連携により広域行政のメリットを生かした地球温暖化防止対策を進めてまいります。また、町公共施設につきましては、再生可能エネルギー由来の電力調達を神奈川県等との連携を図りながら、より一層の導入を進めてまいります。

 

<住環境の向上>

 住環境の向上につきましては、未耐震化家屋や危険ブロック塀の所有者に対し、大規模地震時における自身の安全確保及び倒壊等により第3者をも巻き込む危険性がある旨の周知を図るとともに、新たな耐震化促進策として未耐震化家屋の除却制度を創設し、町内における耐震化の促進を図ってまいります。

 

<資源循環の推進>

 資源循環の推進につきましては、最終処分場を他市町村に依存している状況の中、ごみの減量化・資源化は非常に大きな課題です。こうした状況を踏まえ、ごみの分別の目的や必要性につきまして、町民皆様と共通認識を図るとともに、ごみになるものはもらわないというリフューズ、詰め替え商品などを使用してごみを減らすというリデュース、使えるものを繰り返し使用するというリユース、分別のルールを守って出すことで資源としてまた利用するというリサイクルという4Rについて、町広報紙やホームページなど、様々な媒体を活用し、分かりやすく周知、啓発を徹底してまいります。

 また、ごみ・資源物の収集につきましては、田端地域、大曲地域、宮山地域の大規模マンションにおいて、課題等を明らかにするための試験運用を実施した結果や、これまでの自治会をはじめとする町民皆様からの要望なども踏まえつつ、適切なごみ・資源物の収集方法やごみ・資源物置場での運営管理方法を検討してまいります。

 

 次に、基本目標の4つ目は「安全・安心に暮らせるまちづくり」です。

 

<防災対策の充実>

 防災対策につきましては、「自助・共助・公助」の取り組みを推進するため、各種防災訓練をはじめとする研修会や講演会など、町民皆様が学び考える場を確保することで、防災意識の醸成を図るとともに、自主防災組織が災害時に効果的な活動ができるよう、避難生活や救護等に必要な資機材等への補助を行い、防災活動を組織的に取り組む体制の強化や広域避難所での避難生活に必要な備蓄品充足につきましても継続的に取り組んでまいります。

 また、大規模な災害から生命や財産を守る取り組みにつきましては、地域防災計画をはじめとする災害等に関する計画に基づき、避難所の良好な生活環境の整備や災害に強く安全性の高いまちづくりを推進し、被災時において迅速な復旧復興ができるよう、防災・減災の強化・充実を図るため、日頃から、LINEアカウントの防災情報で、洪水及び内水ハザードマップやマイタイムライン、寒川町防災ハンドブックを活用した啓発活動、防災講演会や自主防災組織の訓練を通じ、町民皆様の防災意識の向上や在宅避難を含めた避難行動の周知・啓発を徹底してまいります。

 

<消防体制の充実>

 消防体制の充実につきましては、茅ヶ崎市との消防の広域化が図られたことで、町民皆様の安全・安心の確保が進むものの、引き続き、茅ヶ崎市消防本部との協力体制のもとで消防・救急体制の充実・強化を図るとともに、町消防団につきましては、消防団事務のデジタル化や消防団員の教育・訓練の見直しなど、消防団員の活動環境の整備に取り組んでまいります。

 そこで本年度は、4階以上の建物での火災に出動するはしご車の更新や災害現場に資機材を搬送する資機材搬送車を更新するとともに、消防団員の活動環境の整備に向け、情報共有や活動支援を効率的に行う消防団専用アプリを導入し、消防団活動の活性化を図りながら、消防団員の技術知識が向上するための訓練や研修について2年間を1サイクルとした体系的な教育体制を確立・実践してまいります。

 また、町の消防力向上のために必要となる北部地域における新たな消防施設の建設につきましては、用地確保を図りつつ、施設建設にあたっては、民間資金活用も視野に入れた適切な手法を検討し、早期建設を目指してまいります。

 

<交通安全・防犯対策の充実>

 交通安全・防犯対策につきましては、交通安全や防犯教室において、茅ケ崎警察署と連携し、幼稚園や保育園、小学校など小さい時から意識づけができるよう積極的に開催してまいります。

 また、防犯灯の増設や防犯カメラの設置、青色回転灯を装備した防犯パトロール専用車両により地域の見守り体制を充実するなど、安全・安心に暮らせるまちづくりを推進してまいります。

 

 次に、基本目標の5つ目は「時代に最適化したにぎわいのあるまちづくり」です。

 

<道路の整備>

 道路の整備につきましては、県道45号・丸子中山茅ヶ崎と町道大蔵宮山8号線が交差する小谷交差点は、小谷小学校の通学路上にあり、交通量や大型車両の右左折も多く、大型車両による巻き込み事故等が懸念されていることから、通学路の安全確保に向けて、本年度、事業用地を取得し、児童が安心で快適に通学路を通行できるよう歩車分離の交差点改良を進めてまいります。

 

<公共交通網の整備>

 公共交通網の整備につきましては、地域特性や地域公共交通の現状・課題等を踏まえ、地域公共交通の果たすべき役割を明らかにするとともに、町民皆様の移動手段の確保等、将来にわたって持続可能な公共交通ネットワークの構築を図るため、本年度、地域公共交通計画を策定してまいります。

 

<下水道の整備>

 下水道の整備につきましては、近年の集中豪雨や都市化等による浸水被害により、水害に対する町民皆様の意識が高まっており、浸水被害の解消が求められております。

 雨水につきましては、排水能力や貯留機能の向上のため、雨水管理総合計画に基づき雨水幹線整備を行うとともに、上村幹線吐口にある樋門への付帯施設として、本年度に水位計等を設置し、樋門操作や避難情報の基礎資料のための情報発信を行なってまいります。

 

<市街地整備の推進>

 町総合計画基本構想の中で将来都市構造に位置づけた3つの拠点である市街地整備の推進につきまして、生活中心拠点の一部である寒川駅南口においては、道路幅員が狭く、通過車両や駅への送迎車両などにより交通障害が生じています。また、駅から南口バス乗降場が離れているため、利用者に不便が生じている状況を踏まえ、新たな駅前広場整備と周辺道路網のあり方、鉄道からバスへの円滑な乗り換え連携に向けた歩行者空間の確保及び交通ネットワーク化について、関係機関や関係権利者と調整しながら進めてまいります。

 産業集積拠点として、令和元年より支援しております組合施行の田端西地区土地区画整理事業においては、本年度中に拠点となる地区北側産業用地及び地区南側住宅用地の土地利用が開始され、建築物の建設ができるよう支援を行なってまいります。

 ツインシティ倉見地区整備事業においては、都市未来拠点として、交通結節点にふさわしいまちづくりを実現するため、新駅周辺整備検討区域内の想定される交通広場、道路等の都市施設配置や土地利用の考え方について、町を主体とし、引き続き地元連絡協議会の協力もいただきながら検討を進めるとともに、土地利用を実現するための事業手法につきましても、連絡協議会における勉強会等の開催を通じて理解を深めてまいります。

 また、まちづくりの核となる東海道新幹線新駅の実現につきましては、新駅設置判断の1つであるリニア中央新幹線の工事も進んでおり、新駅の可能性はますます高まってきております。神奈川県東海道新幹線新駅設置促進期成同盟会の一員として、新駅誘致活動を継続するとともに、JR東海と技術相談を行なっていけるよう引き続き県と調整してまいります。

 

<商業の振興>

 商業の振興につきましては、近隣市の大型商業施設等やインターネットの利用など、利便性やコストパフォーマンスを重視したライフスタイルが定着したことにより、町内の商店以外に購買力が流出している状況があります。商業の衰退は、地域の魅力低下につながることから、これまで工業を中心に展開してきたエコノミック・ガーデニング推進事業を商業分野にも拡大し、意欲ある事業者の発掘と伴走型による経営力の向上やコロナ禍における販路開拓支援など、個々の成長を促進しながら、町の課題解決や地域の魅力向上につながるよう展開してまいります。

 

<農業の振興>

 農業の振興につきましては、近年増えている遊休農地の活用に向け、農業委員、農地利用最適化推進委員等と協力しながらマッチングを進め、農地の適正な維持管理を図るとともに、新規就農者や新たな法人等の参入を含め、地域農業の担い手確保に引き続き取り組んでまいります。また、農業基盤の整備につきましては、小谷地内の花川用水路予防保全工事について国県補助金を活用しながら進めてまいります。

 

<観光の振興>

 観光の振興につきましては、町総合計画2040及び都市マスタープランに位置づけたにぎわい交流創出ゾーンにおける観光施策等につきまして、町内関係団体等と協力しながら検討を深めるとともに、町観光協会をはじめ関係機関等と連携を図りながら、町の魅力や特色のある地域資源を有効に活用し、観光振興を通じた交流人口の増加を図ってまいります。

 また、各種イベントにつきましても、コロナ禍でも安全・安心に配慮したイベントの開催に努めるとともに、県外キャンペーンやシェアサイクル事業等の実施につきましても、他自治体とも連携を図りながら観光振興に取り組んでまいります。

 

 最後に、基本目標の6つ目は「まちづくりのための基盤づくり」です。

 

<町民との協働によるまちづくりの推進>

 町民との協働によるまちづくりの推進につきましては、本町のまちづくりの最高規範である自治基本条例の本旨に則り、町民皆様と町が、自治の担い手としてそれぞれの責任を果たしながら、相互に補完し、協力し合ってまちづくりを進めてまいります。

 昨年度の寒川町協働事業選考委員会において採択された、寒川町みんなの協働事業提案制度提案事業「教育・保育施設で音楽会を開催」につきましては、本年4月より事業を開始し、提案団体と町が協働して取り組んでまいります。

 他にも、町民皆様を対象としたまちづくり懇談会を開催し、地域課題及びその解決策についての意見交換を行なってまいりますが、開催方法につきましては、対面での懇談のほか、オンラインなども活用しながら開催してまいります。

 町の共通課題である自治会加入促進につきましては、転入者向けの自治会加入促進チラシの配布と9月の自治会加入促進月間に合わせて、役場庁舎内のデジタルサイネージを活用して自治会加入促進に関する動画の放映を引き続き行い、転入者等に対する自治会加入を促進するとともに、自治会長連絡協議会と連携し、年1回発行する自治会だよりや自治会長連絡協議会ホームページ等による自治会活動の情報発信に対する支援を行なってまいります。

 また、地域活動や町民参加の機会につきましても、広報やSNS、デジタルサイネージ等でボランティア団体及び地域活動等の周知を図るとともに、職員向けに協働の考え方や手法等の習得を目的に、「協働に関する職員研修会」を開催し、魅力あるまちづくりへつなげてまいります。

 なお、本年度は、昭和48年4月に制定された町の花「すいせん」及び町の木「もくせい」が50周年を迎えることから、周年記念事業といたしまして、町ボランティア団体協力のもと、寒川駅北口ロータリー及びさむかわ中央公園内に「すいせんスポット」を設置するとともに、町内小学校の卒業式会場での「すいせんロード」設置、写真コンテストの開催などを通じて、広く町民皆様に町の花「すいせん」の啓発を行なってまいります。また、町の木「もくせい」につきましては、学校給食センター敷地内に植樹を予定しております。

 

<多様な主体によるまちづくりの推進>

 多様な主体によるまちづくりの推進につきましては、人権が尊重され男女が平等な社会づくりや、自らの意思で社会のあらゆる分野に参画できる仕組み、多様性への理解が進み、自分らしく生活できる社会づくりが求められている中、引き続き、男女共同参画社会・ジェンダー平等の意識の向上に向けた事業を実施してまいります。

 

<自律的な行財政運営>

 自律的な行財政運営につきましては、少子高齢化・人口減少など将来を見据えた上で、魅力的で持続可能なまちづくりを進め、それを効果的に発信することで、移住・定住の促進等を図ってまいります。また、そのためには、社会環境情勢や人々の価値観の変化をしっかりと捉えながら取り組みを進めることが重要であると考えております。

 移住定住の促進につきましては、寒川町まち・ひと・しごと創生総合戦略で目指すべき方向性の1つとして定めた「町の魅力と認知度の向上」を目的に、平成30年2月よりブランディング『「高座」のこころ。』をスタートさせ、5年が経過したところですが、昨今のコロナ禍により生まれた新たな価値観や社会環境情勢を踏まえながら、本町に住んだ際の、より具体的なイメージが掴めるコンテンツを発信するなど「移住候補地への昇華」に資する充実した情報発信に努めるとともに、引き続き、動画やSNSの活用、フィルムコミッションの積極的推進などにより、町の認知度向上をより一層図ってまいります。

 また、町民皆様には、『「高座」のこころ。』が意味する「穏やかさ・優しさ・あたたかさ」を、より分かりやすく町の主体的なメッセージとして発信していくために策定した「ブランドステートメント」を様々な媒体を活用して発信し、さらなるブランド浸透と町への愛着心の醸成を図ってまいります。

 財政面では、コロナ禍で先行き不透明な地域経済の中でも、引き続き、自律的な健全財政を維持しながらも、町民皆様から寄せられるニーズを的確に捉えつつ、まちづくりの進捗や公共施設の更新問題への対応など、適時財政計画等の見直しを図りながら、時勢に合わせた柔軟かつ弾力的な行財政運営に努めてまいります。また、今後、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するために設置している13の基金の一部には、必要性の減少や預金利子を積み立てるだけの休眠状態で有効に活用しているとは言えない状況もあることから、現在設置している基金の見直しを進めるとともに、将来にわたって安定した行財政運営を行うことを目的に新たな基金の設置につきましても検討してまいります。

 

<まちづくりを支える組織と基盤づくり>

 まちづくりを支える組織と基盤づくりにつきましては、昨今のデジタル社会の進展はめざましいものがございます。新しい生活様式が定着し、行政のデジタル化推進による町民サービスの向上と業務効率化が求められております。

 そのために職員のデジタル人材の確保やデジタルスキル向上は喫緊の課題であり、国の進めるデジタル社会実現の流れに遅れることなく、行政のデジタル化に向けた庁内組織の強化や国との連携強化を積極的に進め、町民サービスの向上と業務効率化を実現できるよう取り組んでまいります。

(令和5年度予算)

 町ブランドである『「高座」のこころ。』を念頭に置き、寒川町に住むすべての町民皆様に「一歩先の安心」を感じてもらえるまちづくりを目指した令和5年度予算です。

 令和5年度予算につきましては、「寒川町総合計画2040第1次実施計画のさらなる取り組みと推進」、「新型コロナウイルス感染症対策と町民生活を下支えする施策の推進」、「事業の見直しと歳入確保に結び付く創意工夫」の3つの予算編成基本方針のもとに編成いたしました。

 歳入の一般財源の根幹をなす町税は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除されたことにより経済活動が活性化し、一部製造業を中心に法人の事業収益や個人所得の復調が見られることから、滞納繰越分を含めた町税の総額を87億3,370万円と見込み、対前年度比では4.2%の増といたしました。

 予算規模といたしましては、一般会計総額は173億2,500万円、対前年度比15.6%の増とするとともに、国民健康保険事業特別会計をはじめとする4特別会計を合わせた全会計の予算総額は、293億8,712万円、対前年度比で6.7%の増といたしました。

(おわりに)

 以上、令和5年度の町政運営にあたっての基本的な考え方と主な事業につきまして、ご説明させていただきました。

 本年度は、私が町政をお預かりさせていただいた3期目の最後の年となるわけですが、冒頭申し上げたとおり、これまで一貫して人々の心が通い合う「あったかい町」を町民皆様と築くことに全力を傾注し、少子高齢化・人口減少という構造的な課題に対し、様々な取り組みを行なってまいりました。

 また、激甚化・頻発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行により、ライフスタイルや働き方などの急激な変化を余儀なくされ、これまでの常識が覆され、気づかなかった価値観への迅速な対応が求められております。

 こうした認識のもと、町民皆様の生命や財産を守る体制の強化や次代を担う子どもたちが夢や希望を持ち、笑顔で暮らし、「住み続けたい、住んでみたい」と思われるまちづくりに向け、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現を目指すSDGsの視点をもって、将来を担う次世代に対し責任を持った寒川町の未来を切り拓いていくと決意するところです。

 つきましては、議員各位をはじめ、町民皆様のより一層のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の令和5年度の施政方針といたします。

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