平成23年度 施政方針

更新日:2013年04月01日

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本日ここに、平成23年寒川町議会第1回定例会の開会にあたり、平成23年度予算案をはじめ関係諸議案を提出し、審議をお願いするわけでございますが、私の町政に対する基本的な考え方と施策の概要について申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(はじめに)

私が平成19年9月に町民の皆様からご信任をいただき、寒川町政をお預かりして4年目という節目の年を迎え、町政の舵取り役として、その責任の重さを痛感しております。
私は、町長に就任以来今日まで、「クリーンで透明な町政の実現」を目指すとともに、無駄を省き、改善できるものはすぐにでも改めるという姿勢で行政改革を推進し、町民の皆様の期待に応えられるよう全力で町政運営に取り組んでまいりました。
これまで実施してまいりました事業仕分けや外部評価に続き、本年4月には再度事業仕分けを実施いたします。
今後も、行政資源の有効活用と行政の説明責任の徹底を図り、簡素で効率的な行財政運営に向け、行政改革をより一層進めてまいります。
また、これまで最優先事業として進めてまいりました、寒川駅北口地区土地区画整理事業につきましては、現在は、道路・公園など公共施設の完成に合わせ、新たな店舗の進出が始まっています。さらに、都市計画道路の歩道の整備が進み自転車の通行量も増えるなど、人々がこの地区に集まり始めていると実感しています。
このように、土地区画整理事業が進むにつれ、住居地域と商業地域の区分けも明確に分かれ秩序ある町並みに変わってきています。これも偏(ひとえ)に地権者の皆様をはじめ、関係者並びに町民の皆様の事業に対するご理解、ご協力の賜と心から感謝申し上げます。
さて、社会情勢に目を転じますと、昨年12月に報じられた、北朝鮮による韓国延坪(ヨンピョン)島砲撃は、民間人に被害が及ぶという驚くべき事件でした。この他、尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件、宮崎県での口蹄疫感染、また、自然災害では、チリやハイチ共和国、中国青海省(せいかいしょう)などで巨大地震が発生、国内では夏場の酷暑による猛暑日の記録更新、山北町や奄美大島のゲリラ豪雨などが発生いたしました。一日でも早く平和で安心・安全な社会が構築されるよう切望するものであります。
また、昨年の参議院議員選挙では政権与党の民主党が敗北し、ねじれ国会による不安定な政局が続いており、生活に直結した景気や雇用対策、社会保障の再構築などの課題の一刻も早い解決を望んでいるところであります。
経済に目を転じてみますと、リーマン・ショック以降、「持ち直してきている」とされていました景気の基調判断でありましたが、昨年には急速な円高や海外経済の減速、輸出や生産が鈍化するなど、本年1月の内閣府による日本の経済基調判断では、「景気は、足踏み状態にあるが、一部持ち直しに向けた動きがみられる。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」としており、先行きは不透明な状況となっております。
本町では、このような情勢の中、昨年定めた、平成22年度と平成23年度の二カ年度における財源不足解消のための「緊急財政対策基本方針」を継続するとともに、本年度も私をはじめ、職員全員の人件費の削減を行います。
今後も、本町を取り巻く情勢は、まだまだ厳しい状況が続くものと思われますが、行政運営の方向性をしっかりと見据え、将来に向けた施策の推進をしていくことが重要であります。そのためには、町民と町の協働をより一層推進する必要があります。
私の任期は、本年度半ばで満了となりますが、停滞させることのできない行政運営と住民サービスに対応するため、通年予算を編成してございますので、深いご理解を賜りたいと存じます。

(町政に対する基本的な考え方)

本町は、昨年11月に町制施行70周年という節目の年を迎え、これまで多くの先人達の英知と工夫の積み重ねにより築かれた、今日の平和で文化的な寒川町に、新たな歴史を刻むことができました。これからも、本町の特色と文化・歴史を活かし、明日につなげるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
さて、地方分権改革における地域主権の推進は、地域が個性を発揮することにより、活気に満ちた地域社会を実現するものであります。このため、地方自治体には、自らの役割を認識し、自らの責任と権限のもと、独自の積極的な施策を展開することが求められております。本町の自治の基本を定める最高規範であります寒川町自治基本条例は、目指す自治の基本理念を「町民と町が協働するまちづくり」としております。これからの地域主権の時代に向けて、この基本理念のもと、町民と町がお互いの責任と役割を認識し合い、まちづくりの担い手としてそれぞれの活力を結集し、魅力ある町「寒川」を創っていきたいと考えております。
本年度は、まちづくりの指針である、寒川町総合計画「さむかわ2020プラン」の前期基本計画及び第2次実施計画は計画期間の最終年となります。本来であれば実施計画に位置づけた事業を着実に進めるべきところですが、先に述べましたように危機的な財政状況の中、本年度も「緊急財政対策基本方針」に則(のっと)り、施策の選択と集中、真に必要な施策を見極め、まちづくりを推進してまいります。
また、総合計画後期基本計画の策定にあたっては、基本構想につきましては原則継承することといたしました。後期基本計画及び第3次実施計画については、実現性を明確に打ち出したものにしていく考えであります。
なお、総合計画に基づく個別計画の行政改革大綱や障害福祉計画、高齢者保健福祉計画、環境基本計画、スポーツ振興基本計画など、本年度や来年度から新たな計画期間が始まる計画の策定にあたりましては、しっかりとした検証のもと町民の皆様のご意見をお伺いするとともに、総合計画の基本計画と実施計画との整合性を確実に図ってまいります。また、その他の個別計画につきましても、総合計画との整合性を図り、町全体の計画が一体となったまちづくりを推進してまいります。
さて、景気が回復状況にあるとはいえ、今後も税収の大幅な増加は期待できず、この難局を乗り切るために、「お金のないときは知恵を出せ」と言われているように、組織として新しい発想でアイデアや知恵を出し、財源の確保と徹底した無駄の排除により、健全な財政運営に努めてまいります。
また、本年は卯年です。兎のように耳を大きく立てて町民の皆様の声をしっかりお聞きし、町民の皆様の期待に応えられる行政運営を進めてまいります。

(町の重点施策)

重点施策の一点目は、市街地環境の整備としての三つの拠点整備の推進であります。
一つ目の寒川駅北口地区土地区画整理事業は、本年度も町の最優先事業として進めてまいります。
現在、駅前広場もほぼ完成し4月中には車の乗り入れができる予定で事業を進めています。本年度は寒川駅の北口にエレベーター・エスカレーターやバス・タクシー乗り場の屋根やベンチなどの駅前広場の附属施設の設置、また、周辺の歩道整備など町の玄関としての機能を充実してまいります。
二つ目の東海道新幹線新駅の設置促進と、ツインシティ倉見地区のまちづくりの推進でございますが、昨年5月、国土交通大臣の諮問機関である「交通政策審議会・中央新幹線小委員会」の席で、JR東海から「リニア中央新幹線の開業後は、東海道新幹線のダイヤの過密度が緩和されるため、現在応えられない請願駅設置要望など、新駅設置の余地が高まる」との考えが示されました。
また、昨年12月の同委員会の中間とりまとめにおいても、「中央新幹線が整備され、東海道新幹線の「のぞみ」型の旅客輸送が担っている、輸送ニーズの多くが中央新幹線に転移することにより、東海道新幹線のサービスも相対的に「ひかり」・「こだま」を重視した輸送形態へと変革することが可能となるほか、新駅の設置などの可能性も生じ、東海道新幹線利用者の利便性向上及び沿線地域の活性化に寄与することが期待される」との見解が示されるなど、新駅設置の追い風となる動きが着実に進行しております。
町では、この一連の流れを好機と捉え、期成同盟会の一員として引き続き新駅設置に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
また、ツインシティ倉見地区のまちづくりへのご理解と、新駅誘致の情報提供を目的に、昨年10月より開始いたしました戸別訪問についても、より一層のご理解、ご協力をいただくために引き続き実施しながら、ツインシティ倉見地区のまちづくりの検討を、地元の皆様と進めさせていただきたいと考えております。
三つ目のさがみ縦貫道路(仮称)寒川南インターチェンジ周辺部の田端西地区まちづくりにつきましては、当該地域は交通の結節点となることから、早急に、町の将来を見据えたまちづくりの検討を進めていく必要があります。このため、田端西地区まちづくり推進課を昨年4月に新設し、これまで戸別訪問や懇談会などの開催を通して、地権者や地元の皆様との合意形成に努めてまいりました。
今後につきましては、地元の皆様とともに、まちづくりの具体的な調査検討を進めてまいります。
次に、重点施策の二点目は、(仮称)広域リサイクルセンター建設事業であります。
本施設は持続可能な循環型社会形成を実現化するために必要不可欠な資源物の再資源化施設であり、茅ヶ崎市との広域により昨年度から二カ年をかけ進めております。本年度も引き続き、廃棄物の発生抑制とその有効利用の基本をなす施設として平成24年度稼働に向け事業を進めてまいります。
三点目は、町民の健康づくりで、子どもと女性を感染症から守るため、予防接種事業を拡充いたします。
乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するため、ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン接種を、国の基準に基づき自己負担なしで接種してまいります。
また、これまで町では、がん検診に積極的に取り組んでまいりました。子宮頸がんは予防ワクチン接種と定期的な検診で予防できる唯一のがんであります。他のがんと比べ若い女性の発症率が増加傾向にあることから、中学校1年生から高校1年生を対象に予防接種の全額助成を行い、町民の健康づくりを進めてまいります。
四点目は、公共施設の耐震化の推進であります。
町では、これまで最優先事業として進めていた、児童・生徒の安全確保と地域住民の避難場所となる学校施設の耐震化が、昨年度で完了いたしました。本年度は多くの町民が集う町健康管理センターの耐震診断を実施し、平成24年度には取り壊しを予定している公共施設を除き耐震化率100%を目指してまいります。

(平成23年度予算)

平成21年度決算に基づく、町の財政健全性に関する比率であります健全化判断比率及び公営企業の資金不足比率については、どの指標においても財政健全度の警告段階となる早期健全化基準をクリアしておりますが、今後も引き続き財政の健全化に努めてまいります。
平成22年度に入ってからは、緩やかにではありますが、経済情勢の持ち直しの気配も見られる一方、円高等先行き不透明な点も多く、依然として予断を許さない状況であります。
歳入の根幹となる町税でありますが、税目では、個人町民税については、所得の若干の伸びを見込み、微増としております。また、基幹税目の固定資産税についても、土地家屋の評価見直し等により、微増としております。
法人町民税については、景気動向により業績は流動的ではありますが、世界的に急激な為替変動の中、景気低迷の脱却等、自律的回復に向けた動きにより、増収としております。
この結果、町税総額は、前年度比3.3%の増となる83億483万8千円を見込んでおります。
こういった中、本年度も緊急財政対策を継承した予算編成としたところですが、(仮称)広域リサイクルセンターの建設や子ども手当、予防接種や障害者自立支援給付などが大幅な予算の伸びの原因となり、本年度の予算規模は一般会計で148億7,400万円で、前年度比14.9%の増となりました。また国民健康保険事業特別会計をはじめとする5特別会計を合わせた全会計の予算額は、244億937万6千円で、前年度比8.9%の増となりました。

(平成23年度予算の主な事業)

それでは、重点施策を除いた平成23年度予算の主な事業について、まちづくりの指針である町総合計画「さむかわ2020プラン」の基本目標に沿って、順次ご説明申し上げます。

まちづくりの一つ目は、「快適でにぎわいのあるまちづくり」であります。
町道の整備につきましては、便利で機能的な産業活動、町民生活の快適性、利便性を確保するために、また高齢者や子どもが安全に安心して生活ができるよう、人にやさしい道づくりに努めるとともに、老朽化した道路の維持管理を重点に行い、すべての人が安心して利用できる道路の整備を進めてまいります。
また、橋梁事業につきましては、小出川改修に伴う寺尾橋架け替え事業を、本年度から県と茅ヶ崎市とともに進めてまいります。
現在、国土交通省において、鋭意、精力的に工事が進められております「さがみ縦貫道路」につきましては、平成24年度を目途とした開通目標が示されておりますが、引き続き早期完成に向け要望してまいります。
また、同時に、「さがみ縦貫道路」と二層構造で整備が進められてきました都市計画道路「藤沢大磯線」につきましては、昨年12月に2車線での暫定供用が開始されました。今後は地元の皆様の意向を把握しつつ、4車線化による本格供用開始の早期実現に向け要望してまいります。
さらに、さがみ縦貫道路の(仮称)寒川北インターチェンジへのアクセスと東西方向を結ぶ広域的な幹線道路に位置付けられている「(仮称)湘南台寒川線」の整備につきましては、地域の実情にあった整備ができるよう、関係機関と調整を図り、早期の都市計画決定に向けた取り組みを進めてまいります。
なお、都市計画道路「中海岸寒川線」のNTT以東につきましても、早期事業化に向け引き続き県に対し強く要望してまいります。
次に、コミュニティバスにつきましては、一昨年から「もくせい号」として本運行を開始しており、町民の皆様の足としてご利用いただいております。本年度は、ルートによって乗車場所が異なっていた寒川駅のバス停を、寒川駅北口の駅前広場に統合するほか、運行便数の調整などを行い、町民の皆様がより利用しやすい環境を整えてまいります。
公園や緑地は、地域のネットワークづくりの場として、また、災害時の避難場所となるなどの機能を有しております。昨年12月には、寒川駅北口地区土地区画整理事業地内に待望の「寒川駅前公園」を完成することができました。本年度は3号公園の整備を行うとともに、町民が快適で安心して利用できる公園や緑地の維持管理に努めてまいります。
公共下水道事業につきましては、快適で衛生的な生活環境の確保、水質改善や水害防止という役割を担っております。本年度も引き続き雨水、汚水整備を進めるとともに、本年6月を目途に策定を進めている中期ビジョンに沿った事業を推進してまいります。また、施設の計画的な維持管理のために、本年度から二カ年かけて長寿命化計画を策定してまいります。
河川整備につきましては、相模川沿いでは「さがみ縦貫道路」整備に伴う堤防の整備や強化事業等が進められておりますが、まだ不十分な状況にあります。また、異常気象によるといわれるゲリラ豪雨などにより、河川の氾濫や浸水被害が全国で多発しております。地域住民の生命、財産を守るため、相模川や小出川などの早急な整備を、引き続き国や県に強く要望してまいります。

まちづくりの二つ目は、「環境と共生したうるおいのあるまちづくり」であります。
みどり豊かな都市づくりのために実施している「緑のフェスティバル」は本年20回の節目の年にあたることから、更なる緑化意識の高揚を図ってまいります。また、町民と町が一体となり、緑の保全及び緑化の推進を進めるとともに、地域の緑化の推進に向けて、生垣根の助成についても引き続き実施してまいります。
美しい地球を次世代に引き継ぐため、地球温暖化防止に向けては、「一人ひとりが、地球のために何ができるか、地球規模で考え、地域レベルで行動する。」という考えのもと、一人ひとりができることから実践していくことが重要です。
町といたしましては、本年度から、電気自動車の導入促進を図るため、購入に対する補助を新設します。なお、住宅用太陽光発電システム設置の補助につきましても引き続き継続してまいります。
また、湘南広域都市行政協議会(藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町)で取り組みを進めている「湘南エコウエーブ」事業では、地球温暖化防止に的を絞り、グリーンカーテンや電気自動車の普及などの推進に努めてまいります。
公害防止対策の取り組みにつきましては、これまで町と各事業所との間で取り交わした公害防止協定には、苦情への対応や事故時の措置などが盛り込まれておりませんでした。このようなことから、昨年度、協定内容の全面見直しを行い、環境保全協定書と名称も変更して各事業所と新たに協定の締結を進めております。今後におきましては、この協定書に基づき環境保全を推進してまいります。また、大気や河川水質等を継続的に監視測定するとともに、県をはじめとする関係機関とも連携し、生活環境の保全に努めてまいります。
廃棄物に関しましては、循環型社会の形成を目指して廃棄物の発生抑制とその有効利用を基本に、廃棄物処理に係わる諸事業に対し、町民の皆様と共に、リフューズ(購入拒否)・リデュース(ごみ減量)・リユース(再使用)・リサイクル(再利用)の4Rを着実に実施し、廃棄物のさらなる減量化と資源化を推進してまいります。

まちづくりの三つ目は、「安心で生きがいのあるまちづくり」であります。
安心して出産・子育てができる環境づくりにつきましては、妊婦や胎児の健康管理と健診費用の軽減のために、妊婦健診費用14回分の一部公費負担を継続するとともに、乳児家庭への訪問事業における個別指導や相談により父親や母親への支援に努めてまいります。
健康づくり推進につきましては、疾病の予防や早期発見に重点を置き、知識の普及を図るための講座を実施するとともに、女性特有のがん検診を引き続き実施してまいります。
また、歯の健康づくりのために、歯科検診をはじめ、「さむかわ元気プラン」に基づく食生活の改善や運動習慣の定着、「さむかわ waku waku 体操」を活用した各種健康づくり事業を展開し、生涯を通じて明るく元気で、こころ豊かに生活できるよう健康づくりを支援してまいります。
国民健康保険事業につきましては、高齢者の増加や医療技術の高度化などにより、今後も医療費の増大が懸念されます。このようなことから、生活習慣病に着目した特定健康診査や、ジェネリック医薬品の普及対策などを推進し、医療費負担の軽減に取り組んでまいります。
また、保険料の収納確保は、国民健康保険制度を維持していくうえで、また被保険者の負担の公平を図る観点からも重要ですので、収納率向上に向けた体制づくりを強化してまいります。
後期高齢者医療制度は、新たな制度の開始に向けて検討が進められております。新制度開始までの間につきましては、被保険者への負担緩和などを考慮しながら、現行制度の円滑な運営を図ってまいります。また、今後とも制度の理解を深めるために、個別相談や啓発活動に努めてまいります。
国民年金事業につきましては、将来に向けて持続可能な年金制度とするために、現在、国において取り組みが進められています。引き続き藤沢年金事務所と連携を密にし、町民の皆様の年金記録の回復などに努めてまいります。また、今後も現役世代に公的年金制度の理解を進めるとともに、町民の皆様が無年金者とならないよう、年金相談の充実と啓発活動に努めてまいります。
さて、当町の65歳以上の高齢者人口は本年1月1日現在9,524人で、高齢化率は20.1%となっており、昨年同時期に比べ率で0.7%増加し、年々増加の一途をたどっております。このように高齢化が進む中、高齢者が安心した生活を継続できるよう、地域社会が支援していくことの重要性はさらに増しております。
高齢福祉事業といたしましては、第4次寒川町高齢者保健福祉計画に基づき、高齢者の生活に直結した事業を中心に取り組んでまいります。
介護保険事業につきましては、高齢者の健康相談のより一層の充実を図るため、本年度から一人暮らしの高齢者の健康面・生活面での不安の解消などを目的に訪問相談事業を実施いたします。
さて、急速な少子化や核家族化、社会経済の急激な変化などにより、子どもや家庭を取り巻く環境が大きく変化する中、子どもが心身ともに健やかに成長できる環境の整備を図る必要があります。
保育園運営事業につきましては、引き続き保育園入園の待機児童の解消に向けて、入園枠の拡大の基準を活用しながらクラス編成等の工夫を行い、一人でも多くの園児を受け入れられるよう努めてまいります。
また、本年度は、町立保育園のあり方や民設化の有効性について、委員会を立ち上げ検討を行ってまいります。
子育て支援事業では、寒川町子育て支援センターにおいて、新たに1歳6カ月までの乳児とお母さんを対象に、「赤ちゃんの専用時間」を設け、子育てアドバイザーによる育児相談など育児不安を抱えた家庭への支援体制を強化してまいります。
子ども手当につきましては、現在、通常国会において予算案と関連法案が審議されており、その財源には地方負担が盛り込まれております。町といたしましては、国の責任により実施すべきものとして、本年度分の財源は全額国庫負担金として計上いたしました。しかし、給付にあたりましては、町民の皆様に支障の無いよう取り組んでまいります。
また、小児医療費助成事業では、本年度も引き続き小学校3年生までを対象として、医療費の自己負担額を一定条件のもとで助成し、子育て世帯への支援を行ってまいります。
次に、障害福祉につきましては、障害者自立支援法に基づき、障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるよう、様々な地域生活支援事業を推進しております。
本年度は、その一環としまして、地域作業所として事業運営しておりました「友達」が、地域活動支援センターに移行することから、障害のある方が地域で安心して生活できる地域活動拠点として、当該センターの機能を充実するための支援をしてまいります。
次に、防災対策につきましては、いつ起こるか予測不能な地震災害等に備えるため、総合防災訓練や自主防災訓練の実施ならびに防災講演会の開催を通じ、防災意識の高揚に努めてまいります。
また、本年度は、災害時における具体的な行動指針であります「防災対策行動マニュアル」の見直しを行い、自主防災組織等への配布を通じ、防災体制の強化に努めてまいります。
さらに、地震における一般住宅の安全性を高め、災害に強いまちづくりの推進のために、本年度も耐震相談を月1回開催するとともに、耐震診断及び耐震改修工事への補助の実施と、制度の普及、啓発に努めてまいります。
高齢者や障害のある方など、いわゆる災害時における要援護者の避難支援を地域ぐるみで進めるため、現在、自治会と民生委員のご協力のもと、災害時要援護者の把握を進めております。また、要援護者の救急医療活動に必要な氏名や血液型、緊急連絡先などの情報を入れられる「緊急医療情報キット」の導入をしてまいります。
次に、消防行政につきましては、災害の予防と最少化を図るため、住宅火災警報器の設置が本年6月から義務化されることから、広報や各種イベント時での啓発活動を通して、設置促進に努めてまいります。
また、消防救急無線のデジタル化への移行やさがみ縦貫道路の開通などの社会変化に備え、通信設備をはじめとする消防資機材の計画的な更新整備や、近隣都市との消防の連携強化、消防相互応援協定の見直しなどの検討を進め、町消防力の充実強化を図ってまいります。
さらに、町民の皆様の安心安全の確保や救命率の向上を図るため、救急救命士の資格取得、消防大学や県消防学校での研修により、消防職員の専門性の向上を図ります。また、普通救命講習会を随時開催など、町民と町の協働による「救命の輪」を広げてまいります。
次に、交通安全対策につきましては、悲惨な交通事故の防止には一人ひとりの交通ルールの遵守や交通マナーの向上が重要であります。そこで、本年度も警察署をはじめ各種関係団体との連携を密にし、新入学児童等を対象とした交通安全教室の開催や、春・夏・秋・年末におけるキャンペーンの実施、町イベント等を活用した啓発活動を実施し、町内の交通事故撲滅に努めてまいります。
また、財団法人神奈川県交通安全協会の事業で、平成21年度をもって終了となっておりました、主要地方道丸子中山茅ヶ崎線の寒川小学校入口交差点への学童等交通誘導員の配置につきましては、本年4月より茅ヶ崎地区交通安全協会にお願いをし、再配置していくことといたしました。
次に、防犯対策につきましては、高齢化社会等を背景に、高齢者を狙った犯罪が悪質巧妙化する傾向にあり、特に、振り込め詐欺は社会的な問題となっております。また、当町では、昨年より空き巣・自動車盗の発生が増加しております。
こうした様々な犯罪の未然防止に向け、本年度も防犯灯の整備を進めるとともに、警察署等関係機関との連携をさらに充実し、防犯パトロールの実施や、自治会等を単位とした防犯講話の開催等を通して、地域における見守り体制の強化に努めてまいります。
また、登下校時における子どもたちの安全を確保するため、本年度も、入学する小学生への防犯ブザーの貸与等により児童・生徒の安全確保に努めてまいります。
さらに、神奈川県では、最近の暴力団情勢を背景に、暴力団を社会から排除する取り組みとして、神奈川県暴力団排除条例を本年4月から施行します。町としましても、暴力団排除の意思を明確に表明するために(仮称)寒川町暴力団排除条例を制定し、県と連携を図りながら、町民の皆様が安全で安心して暮らすことができる地域社会づくりを進めてまいります。
さて、高齢者を狙った消費生活をめぐるトラブルが複雑、深刻化してきておりますことから、本年度も引き続き、消費者相談窓口の周知や高齢者などを対象とした講座を開催し、消費者被害の防止を図ってまいります。
次に、性別による固定的な役割分担意識などの偏見や差別を解消し、男女がお互いの人権を尊重して自立し、あらゆる分野に参画できる男女共同参画社会の形成に向けては、昨年度に策定した「第3次さむかわ男女共同参画プラン」に基づき、様々な講座の開催や制度などの周知を行い、男女共同参画社会の形成に向け意識づくりを図ってまいります。

まちづくりの四つ目は、「豊かな心と文化をはぐくむまちづくり」であります。
生涯学習の推進につきましては、「寒川 学びプラン」に基づき、町民一人ひとりが生涯を通じて生きがいのある充実した生活を送れるよう、幼少年期から高齢期にわたるライフステージに応じた学習機会の提供を図ってまいります。
また、本年度も、「不惑の40歳」や「還暦の60歳」などの集いを企画し、積極的に自己の人生を見つめ、地域に目を向けていただけるような事業展開を図ってまいります。
各公民館では、「ともに学び・ともに支えあう自己実現と協働のまち・さむかわ」を実現するため、ライフステージに応じた各種講座や教室、芸術文化事業など幅広く開催いたします。また、学習のきっかけづくりから実践へ、「知る」「学ぶ」「活かす」の段階を踏まえた生涯学習を推進してまいります。
なお、寒川町公民館は、老朽化に伴い昨年3月末日をもって休館し、その機能を寒川小学校内等に移管いたしました。本年度は、建設に向けての検討委員会を立ち上げて、その施設内容等について検討を進めてまいります。
新設されるまでの間は、各公民館等と連携し、利便性の向上と、事業内容のさらなる充実を図ってまいります。
寒川総合図書館は、開館から5年目を迎え、引き続き多くの方にご利用いただき、生涯学習の拠点施設として定着してきていると感じております。また、その時々のテーマに合った特集展示や、閉館後の図書館を利用したライブコンサートを開催するなど、新たな利用者の掘り起こしにも努めています。本年度も町民の皆様の大きな期待に応えられるよう、資料収集や質の高いサービス提供に努めてまいります。
スポーツ・レクリエーション活動の推進につきましては、昨年完成した田端スポーツ公園に接して、この3月に国の事業により親水広場が整備されます。このことにより、スポーツの拠点と併せて憩いの場として、より一層の利用が期待されます。
また、本年度は、スポーツの象徴でもある「体育の日」を中心にスポーツイベントを実施し、スポーツ振興を図ってまいります。
次に、私立幼稚園等の園児の保護者に対しては、引き続き所得状況に応じて保育料・入園料の一部を補助し、幼児教育に係る経済的負担を軽減することで、就園を奨励してまいります。
さて、学校教育に求められているのは、自己実現を目指していくために、知・徳・体の調和がとれた「生きる力」を身につけた児童生徒を育成することです。この目標に向けて、子どもたちにきめ細かな学習指導と生活指導を行うために、学校との連携を一層密にしながら学校に対する支援に努めてまいります。
きめ細やかな指導の充実のため、本年度は小学校2年生まで少人数学級を拡大します。そして、特別支援教育につきましては、通常学級に在籍する特別な配慮が必要な児童に対する支援を行ってまいります。
また、本年度より小学校の新しい学習指導要領が完全実施されます。新たに小学校に外国語活動が導入されることから、英語指導助手を有効に活用しながら指導の充実に努めてまいります。
さらに、不登校問題や子どもたちの様々な心の問題に対応するため、指導主事を中心とした相談体制を強化し、臨床心理士、巡回相談員、スクールカウンセラー、訪問相談指導員等の一層の活用及び連携を図りながら教育相談が効果的に機能するよう努めてまいります。
青少年の健全育成につきましては、家庭・地域・学校・行政等が連携した取り組みがますます重要になっております。昨年度に増して、町文化祭の中で、青少年に発表の場を積極的に設けて、地域の一員としての自覚を促すなど、青少年の健全育成を推進してまいります。
また、放課後児童の健全育成を目的とした「さむかわふれあい塾」は、児童クラブとの連携を深めながら子どもたちの豊かな成長を育んでまいります。
寒川文書館は町のことなら何でも調べられる施設を目指しております。今後もより一層、過去の情報に目を配りながら、未来のまちづくりに資することができるよう、歴史的公文書をはじめとする資料の収集・保存・利用促進に努めてまいります。

まちづくりの五つ目は、「魅力ある産業と活力あるまちづくり」であります。
活力あるいきいきとしたまちづくりを進めるために、商業・工業・農業・観光といった産業それぞれの活性化とともに、相互の連携を図る必要があります。
商業では、昨年末に「寒川駅前公園」の開園に合わせて、寒川駅北口商店会が設立1周年を記念して、イルミネーションフェスタを開催いたしました。町といたしましては、北口商店会の支援として、街路灯を新設する事業を進めており、今後も、明るく活気のある駅前を目指してまいります。
また、地域おこしのため昨年度「ロコフードフェスタKANAGAWA」に出展した「さむかわ棒コロ」で、本年度は「神奈川フードバトル」に挑みます。
さらに、本年度は新たに、個人住宅のリフォーム等の建築工事に対する助成事業を実施いたします。本事業は町内の建築業者に当該工事を発注した場合に、その費用の一部を寒川町共通商品券により交付するものです。これにより町内での購買を促し、資金等を町内循環型にすることにより産業の活性化につなげていきたいと考えております。また、商業活性化策として「プレミアム付き共通商品券」に対する商工会への助成も、本年度も引き続き実施いたします。
工業につきましては、企業の新規進出と新規投資を促進するため、企業等の立地促進に関する優遇策や融資制度を5年間延長いたします。また、中小企業経営の安定と振興を図るために、中小企業事業融資などを行うとともに、中小企業退職金共済掛金、中小企業信用保証料助成措置も引き続き実施してまいります。
農業につきましては、わいわい市との連携による地産地消をより一層推進するとともに、新鮮で安全安心な農産物の安定的提供や後継者育成等を図るため、農業振興への補助を引き続き実施してまいります。
また、農地は地球温暖化の緩和や防災・洪水防止・緑の保全等の多面的な機能を有しております。その継続的利用を推進するため、広域的な視点や新規就農者の受け入れ等も含めた研究を進めるとともに、農業委員会や県などとも連携を図りながら、耕廃地や不耕作地の解消に努めてまいります。
勤労者対策につきましては、雇用不安や賃金の減少等に対する対策として、勤労者生活資金融資や勤労者住宅資金利子補助制度、教育資金利子補助制度を引き続き実施してまいります。
次に、観光につきましては、寒川町観光協会、寒川町商工会及び寒川町で組織する「寒川町観光事業検討協議会」において、観光振興の目指すべき姿や、将来を見据えた観光の方向性や具体的・戦略的な方策を示す「寒川町観光振興計画」の策定を進めております。今後におきましては、来町者を短時間滞在型から長時間周遊滞在型へ誘導するため、本計画に沿った事業展開を進めてまいります。
また、小出川の「彼岸花まつり」の定着を図るとともに、町民や商業者を巻き込んだ新たなイベントを実施するなど、産業と連携した観光事業の充実を図ってまいります。
次に、「施策の推進に向けて」であります。
私は、就任からこれまで、町政運営の基本を「クリーンで透明な町政の実現」であることとして、施策を推進してまいりました。今後も、町の自治の基本理念を定めた「寒川町自治基本条例」を基本に、町民の皆様のご意見等をいただきながら、行政情報の積極的な提供に努め、協働のまちづくりを推進してまいります。
昨年度から、全世帯と全事業所へ確実に町の情報を届けるため、「広報さむかわ」及び「議会だより」のポスティングによる配布を実施してまいりました。本年度も引き続き実施し、町からの情報を確実に町民の皆様へ伝えてまいります。
広域行政につきましては、広域的な視野に立ち、周辺自治体の市町とともに直面する共通の課題に対して、情報を共有し、共通の理解と認識を深め、共同してその解決に向けた検討や協議を進め、相互連携の強化を図ってまいります。
その一つとして、昨年度、地方自治法に規定する法定協議会へ移行した湘南広域都市行政協議会では、事務研究部会や広域広報部会など7つの部会において共同処理にふさわしい事業の展開や研究・検討を進めてまいりました。今後におきましても、効率的かつ効果的な広域的住民サービスの向上や地域の活性化につながる施策の実現に努めてまいります。
休日の役場窓口の開庁につきましては、一年間の試行期間を経て、昨年の10月から毎月第1、第3土曜日の午前中、住民票等の窓口交付を本稼働させたところであり、本年度も住民サービスの向上のために継続してまいります。

(おわりに)

以上、平成23年度の町政運営に当たっての基本的な方針と施策の概要について、ご説明いたしました。
私は、「このまちに住んで良かった」と実感できるまちづくりを実現するため、町民の皆様のご意見を真摯に受け止め、厳しい財政状況ではありますが、時代の変化を的確に捉えた町政運営に全力で取り組んでまいります。
議員各位をはじめ、町民の皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の平成23年度の施政方針といたします。

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