平成22年度 施政方針

更新日:2013年04月01日

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本日ここに、平成22年寒川町議会第1回定例会の開会にあたり、平成22年度予算案をはじめ関係諸議案を提出し、審議をお願いするわけでございますが、私の町政に対する基本的な考え方と施策の概要について申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

(はじめに)

私が寒川町政の舵取り役を務めてから、早いもので3年目に入りました。これもひとえに議会議員の皆様をはじめ、町民の皆様のご協力の賜と感謝いたしております。
私は、町長に就任して以来、「クリーンで透明な町政の実現」を目指すとともに、無駄を省き、改善できるものはすぐにでも改めるという姿勢で行政改革を推進し、そして町民の皆様の期待に応えられるよう全力で町政運営に取り組んでまいりました。一昨年度の事業仕分けに続き、本年1月には、町民や学識経験者などで構成する外部評価委員会を立ち上げ、外部の客観的な視点から行政評価をしていただくことで、簡素で効率的な行財政運営に向け、行政改革をより一層進めてまいります。

さて、一昨年秋の米国のサブ・プライムローン問題に端を発する世界的不況は、日本国内においても未曾有(みぞう)の不況をもたらし、本町も大きな影響を受けています。その影響は、町内企業の業績悪化に伴う税収減、さらに雇用状況の悪化から個人消費の低迷にも及んでおり、町の財政は危機的状況となっております。
また、昨年の衆議院議員総選挙では与野党が逆転し、政権交代が行われ、今後の景気回復に期待するところでございますが、本年1月の内閣府による日本の経済基調判断では、景気は持ち直しているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあると判断しており、先行きは楽観できる状況ではございません。
本町では、このような情勢の中、直面する財政危機を乗り越えるため、昨年4月に緊急財政対策会議を立ち上げ、大幅な財源不足が見込まれる平成22年度と平成23年度の二カ年度における財源不足解消のため、「緊急財政対策基本方針」を定め、財源確保策や各事業の見直し等の検討をしてまいりました。
歳出の見直しにあたりましては、まず私をはじめ、副町長以下職員全員の人件費を削減し、経常経費の精査を行い、委託等についても職員で極力行うこととするなど検討をしてまいりましたが、財源不足の解消には至らず、既存事業の縮小・休止・廃止をせざるを得ない状況となりました。本年1月には、その主な見直し内容につきまして、町内3箇所で町民説明会を開催し、ご理解とご協力をお願いしたところでございます。
今後も、寒川町を取り巻く環境は大変厳しいものがありますが、状況をしっかりと見極めながら時宜(じぎ)を失することなく適切な対応を図り、この危機を乗り越えてまいります。
そして、次の世代に明るい未来を残していくために、町民・企業・行政等による一層の連携強化を図り、共に考え、協力し合える大きな力を生み出し、新しい寒川の魅力や活力を創造してまいります。

(町政に対する基本的な考え方)

本町は、昭和15年に町制を施行し、本年で70周年を迎えます。町制施行当時は6,700人ほどの人口でありましたが、現在は4万7千人を超え、街並みは当時に比べ大きく変貌いたしました。
地方分権が進む中、地方財政は悪化しており、町といたしましても予断は許されない状況ではありますが、「前事(ぜんじ)の忘(わす)れざるは後事(こうじ)の師(し)なり」と言われるように、先人達の英知と努力を教訓に、寒川を愛する気持ちや伝統、誇りを、我が子、我が孫につなぎ、これからも住み続けていきたいと思えるような、豊かな自然を守りながら活気あるまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。また、町民・企業・行政等が相互の立場を理解し、協力し合うことで、誰もが笑顔で安心して暮らせる、健康で楽しく生活できるまちへと発展させてまいりたいと考えております。
寒川町の自治の基本を定める最高規範であります寒川町自治基本条例では、目指す自治の基本理念を「町民と町が協働するまちづくり」としております。福祉、医療、子育て支援、青少年活動、防災・防犯、環境形成、まちづくりなどには、“地域の力"は欠かすことができません。今後もより一層、協働の取り組みを進めてまいります。
町総合計画「さむかわ2020プラン」の前期基本計画・第2次実施計画も4年目を迎え、前期基本計画として最終段階に入っております。
これまで述べさせていただきましたように、危機的な財政状況ではありますが、事業の推進にあたりましては、町民の皆様の生命・財産を守る施策を最優先として進めてまいります。そして、真に必要な施策につきまして、総合計画に基づいて確実に推進してまいります。
行政として、この難局を乗り切るために、それぞれの局面においての総合的な判断力、組織としての団結力、迅速な行動力を高め、町民の皆様の期待に応えられる行政とならなければなりません。
今後につきましても、税収の増加は期待できず、さらなる減収も予想されており、直面する財政危機を乗り越えるため、財源の確保と徹底して無駄を排除し、より堅実な財政計画に基づいた健全な財政運営に努めてまいります。
そのためには、職員一人ひとりが時代の潮流に対応できる経営感覚や政策形成能力、説明・交渉力を習得し、町民にとって真に必要な町職員となるよう、今後も人材育成に力を入れてまいります。

(町の重点施策)

一点目は、学校施設の耐震化の推進でありまして、本年度も町の最優先事業として進めてまいります。
昨年のスマトラ沖地震の記憶も冷めない中、本年1月にハイチで大地震が発生し、首都の学校施設の約9割が全壊したと伝えられているところであり、災害に備えるため、施設の安全性の確保が急務となっております。
本年度の学校施設の耐震化につきましては、小谷小学校及び旭が丘中学校の耐震化工事を行います。
これにより、児童・生徒の安全確保に加え、地域住民の広域避難場所となる学校施設の耐震化が平成22年度ですべて完了し、耐震化率100%となります。
二点目は、寒川駅北口地区土地区画整理事業であります。本年度は、昨年度より工事着手した「寒川町の顔」としての寒川駅北口駅前広場を町民の皆様や買物等で訪れる人々の憩いの場として、さらに、駅前商店街の活性化や災害時の一時避難場所としても機能できるよう1号公園を整備いたします。
また、土地区画整理地内の「都市計画道路・寒川下寺尾線」には、これまで信号機が設置されておらず、安心安全のため一刻も早い設置を望んでおりましたが、本年度、待望の信号機が設置されます。このことにより、寒川町の玄関としての機能がほぼ整い、区画整理事業のコンセプトである「"輝きとふれあい"のまち」へと大きく前進するものと考えております。
三点目は、(仮称)広域リサイクルセンター建設事業であります。クリーンセンターの跡地には、資源物の再資源化を適切かつ効率的に行うとともに、広域によるごみ処理と循環型社会の実現に向けた取り組みとして、茅ヶ崎市と共同し、(仮称)広域リサイクルセンターの建設を二カ年をかけて進めてまいります。
このほかの重点施策といたしましては、町民の生命・財産を守ることに重点を置き、施策推進をしてまいります。
その一つとして、防火啓発や災害における消防活動の円滑化を図るため、宮山消防分団の消防車両の更新を行います。
また、道路整備事業につきましては、旭橋歩道整備工事等を行い、安全で利用しやすい歩道等の整備を進めます。
さらに、夜間の犯罪や事故のない町民が安心して暮らせる環境を整備するため、適所に防犯灯を新設してまいります。
小児医療費助成事業、重度障害者等医療費助成事業につきましては、生命等に関わる重要な施策であるため、従来どおり施策推進に力を注いでまいります。

(平成22年度予算)

平成20年度決算に基づく、寒川町の財政健全性に関する比率であります健全化判断比率及び公営企業の資金不足比率については、どの指標においても早期健全化団体となる早期健全化基準をクリアしておりますが、今後も引き続き財政の健全化に努めてまいります。
一昨年からの世界的な経済情勢の悪化に伴い、歳入の大半を占める町の一般財源の根幹をなす町税は、多くの減収要因から本年度も昨年度に引き続き非常に厳しい危機的な収入見込みとなっております。
税目では、個人町民税については、所得の減に伴い減少しており、基幹税目であります固定資産税における土地については全国的な路線価の下落、償却資産では設備投資の減などにより減少しております。また、法人町民税についても、長引く景気低迷により大幅な減少としております。
この結果、町税総額は、対前年度比7.9%の減となる80億3,849万5千円を見込んでおります。
このような状況から、平成22年度予算の編成は、緊急財政対策として、全事業を休止あるいは統廃合などゼロ予算ベースで見直し、「町民の生命、財産を守るために欠かせない事業」を優先とした予算編成を行いました。
その結果、新年度の予算規模は一般会計で129億4,300万円で、対前年度比8.5%の減、また国民健康保険事業特別会計をはじめとする6特別会計を合わせた全会計の予算額は、224億2,437万7千円で、対前年度比5.7%の減となりました。

(平成22年度予算の主な事業)

それでは、平成22年度予算の主な事業について、まちづくりの指針である寒川町総合計画「さむかわ2020プラン」の基本目標に沿って順次ご説明申し上げます。

まちづくりの一つ目は、「快適でにぎわいのあるまちづくり」であります。
町道の整備につきましては、便利で機能的な産業活動、町民生活の快適性、利便性を確保するために、また高齢者や子どもが安全に安心して生活ができるよう、人にやさしい道づくりに努めるとともに、歩行者の安全確保を図るため、老朽化した道路の維持管理を重点に行い、すべての人が安心して利用できる道路の整備を進めてまいります。
現在、国土交通省において、鋭意、工事が進められております「さがみ縦貫道路」につきましては、圏央道「目標宣言プロジェクト」により平成24年度を目途とした開通目標が示されており、引き続き早期実現に向け要望してまいります。
また、同時に、「さがみ縦貫道路」と二層構造で整備が進められております都市計画道路「藤沢大磯線」につきましては、これまでの要望活動の成果により、茅ヶ崎中央インター交差点から田端二本松交差点までの間について、今春、二車線での暫定開通に向けて整備が進められております。今後も引き続き全面開通の早期実現に向け、県に要望してまいります。
なお、(仮称)寒川北インターチェンジへのアクセスと東西方向を結ぶ広域的な幹線道路に位置付けられている「(仮称)湘南台寒川線」の整備につきましては、地元のご理解を得ながら関係機関と調整し進めてまいります。
また、都市計画道路「中海岸寒川線」のNTT以東につきましても、早期事業化に向け引き続き県に強く要望してまいります。
次に、コミュニティバスの運行につきましては、平成15年より国の交付金を受けながら試験運行を行ってまいりました。平成20年度にコミュニティバス運行検討委員会から検討結果報告書が提出され、町では、この報告書を基に昨年10月から「もくせい号」として本運行を開始いたしました。
今後につきましても、町内に点在する公共施設などを結ぶ町民の皆様の足として、皆様に愛される「もくせい号」の運行を引き続き行ってまいります。
公園や緑地につきましては、地域のネットワークづくりの場のみならず、災害時の避難場所となるなどの機能を有しております。今後につきましても、寒川駅北口地区土地区画整理事業地内の1号公園の整備をはじめ、町民が快適で安心して利用できるよう、公園や緑地の維持管理に努めてまいります。
また、公共下水道事業につきましては、生活環境の改善、浸水の防除による安全性の確保、河川や海などへの水質保全により、水環境を守るという役割を担うもので、本年度も引き続き計画的な雨水整備、汚水整備を進めてまいります。
河川整備につきましては、現在、相模川沿いでは「さがみ縦貫道路」整備に伴い堤防整備や堤防強化事業等が鋭意進められておりますが、その整備はまだ不十分な状況にあります。
また、近年、異常気象によるといわれる相次ぐ台風やいわゆるゲリラ豪雨等により、全国各地で河川の氾濫や浸水被害をもたらしております。
地域住民の生命、財産を守るため、相模川や小出川などの町内の河川整備につきまして、早期完成に向けて、引き続き国・県に要望してまいります。

寒川駅北口地区土地区画整理事業地内につきましては、歩道のブロック舗装化も進み、用途に合わせた施設の進出条件も整ってまいりました。また、個人住宅が建ち並び良好な住宅地の形成も進んできております。これもひとえに、地権者の皆様方をはじめ、関係者並びに町民の皆様の事業に対するご理解・ご協力の賜と心から感謝申し上げます。今後も引き続き早期完成を目指してまいります。
次に、東海道新幹線新駅の設置促進と、ツインシティ倉見地区のまちづくりの推進でございますが、新駅設置の追い風となる、リニア中央新幹線の実現に向けた動きが着実に進行しております。
JR東海では、2025年(平成37年)のリニア中央新幹線の開業に向け、昨年12月に調査指示に対する報告書を国土交通大臣に提出し、それと同時に、2014年(平成26年)から2015年(平成27年)に工事に着手する考えを示しました。
また、神奈川県相模原市付近から、山梨県笛吹市(ふえふきし)付近にかけての区間については、開業予定を早め、2020年(平成32年)頃に開業させる方針も示されております。
これらリニア中央新幹線の具体的な動きに伴い、東海道新幹線新駅の設置の可能性も高まってきていると確信しております。
今後も引き続き、新駅設置に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
また、新駅周辺地区の都市形成とアクセス整備を進めるため、ツインシティ倉見地区のまちづくりの具体的な検討を、地元の皆様と進めさせていただきたいと考えております。
平成24年度の供用開始を目途に整備が進められている「さがみ縦貫道路」の(仮称)寒川南インターチェンジ周辺部の田端西地区のまちづくりにつきましては、総合計画基本構想の3つの拠点のうち産業集積拠点と位置付けております。
拠点整備は、まちづくりの核であるため、その実現に向けた庁内組織として、本年度新たに「田端西地区まちづくり推進課」を設置し、地元の皆様とともに積極的にまちづくりを進めてまいります。

まちづくりの二つ目は、「環境と共生したうるおいのあるまちづくり」であります。
みどり豊かな都市づくりのため、毎年実施している「緑のフェスティバル」や「緑化フェア」を本年度も引続き実施し、緑化意識の高揚を図ってまいります。また、町民・事業者・行政が一体となり、緑の保全及び緑化の推進を進めるとともに、生け垣の助成を引き続き実施し、地域の緑化を推進してまいります。
神奈川県では、昨年7月に神奈川県地球温暖化対策推進条例を制定し、地球温暖化防止に向けた取り組みの強化を図っております。地球温暖化は、日常生活や事業活動から排出される温室効果ガスが原因であることから、その排出削減に向けたライフスタイルや社会システムを構築することが重要です。
町といたしましても、環境基本計画において、地球温暖化防止を重点プロジェクトの一つに位置付け、取り組みの強化を図っております。
昨年12月には、藤沢市・茅ヶ崎市との2市1町での取り組みである「湘南エコウェーブ」プロジェクトの事業として、電気自動車を普及するためのキックオフイベントを県立茅ヶ崎里山公園で開催いたしました。今後は、昨年度に購入した公用電気自動車と急速充電器の有効活用に努めるとともに、電気自動車の普及推進を図ってまいります。
公害防止対策の取り組みにつきましては、本年度に県の大気汚染常時監視測定局が町に設置され、光化学スモッグ発生の原因であるオキシダント等、町の大気の状況を県環境科学センターのホームページで常時確認できるようになります。他の公害防止対策につきましても、引き続き監視測定を行うなど、県をはじめとする関係機関と十分連携を取り、適切に対応してまいります。
また、自然エネルギーの利用促進を図るため家庭用太陽光発電設備の設置に対する補助制度を本年度も継続し、普及促進を図ってまいります。
廃棄物に関しましては、循環型社会の形成を目指し廃棄物の発生抑制とその有効利用を基本に、従来からの廃棄物処理に係わる諸事業をリフューズ(購入拒否)・リデュース(ごみ減量)・リユース(再使用)・リサイクル(再利用)の4Rの基本に基づき着実に実施するとともに、寒川町・茅ヶ崎市が共同で整備する(仮称)広域リサイクルセンターの建設に着手し、廃棄物のさらなる減量化と資源化に取り組んでまいります。

まちづくりの三つ目は、「安心で生きがいのあるまちづくり」であります。
母体や胎児の健康確保と健診費用の軽減を図るため、妊婦健診費用の一部公費負担を引き続き14回分まで、また、妊産婦にやさしい環境づくりを進めるため「マタニティストラップ」の配布や、乳児家庭を訪問し、個別指導と相談を引き続き実施し、安心して出産・子育てができる環境づくりに努めてまいります。
健康づくり推進のため、疾病の予防や早期発見に重点をおき、「成人の健康診査」、「各種癌検診」では、日曜日健診の回数を増やし、女性の癌検診を同日に実施するなど受診率の向上を図ってまいります。また、「自分の健康は自分で守る」ことを基調に食生活の改善や運動習慣の定着、さらには、虫歯や歯周疾患等の予防推進、「さむかわwaku waku 体操」を活用した各種健康づくり事業の展開を図ってまいります。
国民健康保険事業につきましては、本年度は10年ぶりに診療報酬のプラス改定が予定されており、今後の医療費の増大が懸念されます。このようなことから、被保険者の生活習慣病の発症を予防するなど初期段階での改善に向けた保健指導などを行い、医療費の抑制に努めてまいります。
また、保険料の収納確保は国民健康保険制度を維持していくうえで、また、被保険者間の負担の公平を図る観点からも重要ですので、収納率の向上対策に積極的に取り組んでまいります。
次に、後期高齢者医療制度は、平成24年度に廃止され、平成25年度からの新たな制度開始に向けて現在検討が行われております。
また、本年度は後期高齢者の保険料の改定時期となっております。神奈川県後期高齢者医療広域連合では、制度発足からこれまでの剰余金などを活用し、平成22年度、平成23年度の次期保険料は、現行の保険料より引き下げを予定しております。
高齢者の方には、めまぐるしく変わる制度ですが、ご理解していただけるよう、今後とも個別相談や啓発活動に努めてまいります。
高齢福祉事業といたしましては、第4次高齢者保健福祉計画に基づき、高齢者の生活に直結した事業を中心に取り組んでまいります。
中度の介護を要する状態の方が、住み慣れた地域での生活を続けるために、24時間体制で支える地域密着型サービスとして、小規模多機能型居宅介護事業所と認知症対応型共同生活介護事業所の二つのサービスが併設された事業所が町内に本年度開設されます。これによりまして新たな地域密着型サービスの利用を提供することが可能となります。
介護保険事業につきましても、引き続き介護予防事業に重点を置くとともに、地域での支え合い事業にも力を入れてまいります。
また、認知症の人やその家族を温かく見守り支援する認知症サポーターを養成し「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」に本年度も継続して取り組んでまいります。
国民年金制度につきましては、本年1月に「日本年金機構」が発足いたしました。
町でも、藤沢年金事務所と連携を密にし、町民の年金記録の回復などに努めてまいりましたが、今後も現役世代に公的年金制度の理解を深めるため、また、町民の皆様が無年金者とならないよう、年金相談の充実を図るとともに、啓発活動に努めてまいります。
保育園運営事業につきましては、保育園入園の待機児童の解消に向けて、入園枠の拡大の基準を活用しながらクラス編成等の工夫を行い、一人でも多くの園児を受け入れられるよう努めてまいります。
また、児童福祉につきましては、急速に少子化が進む中で、安心して子どもを産み育てることができ、子どもが心身ともに健やかに成長する環境の整備を図る必要があります。
先ず、小児医療費助成事業では、小児の健康の増進と、子育て中の保護者の経済的負担の軽減を図るため、医療費の自己負担額を一定条件のもとで本年度も引き続き対象年齢を、小学校3年生までとして実施し、子育て世帯への支援を行ってまいります。
また、放課後児童健全育成事業としての児童クラブについては、小学校内に設置することを進めてまいりましたが、本年度は寒川町公民館内にあった「あおぞらクラブ」を寒川小学校の校舎内に移転することといたしました。
障害福祉につきましては、障害者自立支援法の施行に伴い、町では障害のある方が自立した日常生活や社会生活を営むことが出来るよう、地域生活支援事業等の充実を図ってまいりました。本年度は、茅ヶ崎市と合同で開催しておりました地域自立支援協議会を町単独で開催することとし、相談支援事業等のさらなる充実を図ってまいります。
また、地域福祉計画及び障害者計画の第1次計画が平成22年度で終了することから、平成23年度からの第2次計画の策定に着手してまいります。
次に、防災対策につきましては、本年度も耐震相談を月1回開催するとともに、耐震診断及び耐震改修工事への補助事業を実施し、地震に対する一般住宅の安全性を高め、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
特に、建築基準法が改正された昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅の所有者に対し、補助制度の周知、啓発に努め、耐震改修の促進に向け積極的に事業を推進してまいります。
さらに、高齢者や障害のある方など、いわゆる災害時の要援護者の避難支援を自治会や福祉関係団体などと協力して、地域ぐるみで進めてまいります。
また、地域防災計画に基づき、地震や集中豪雨等の被害を最小限にするため、職員や防災機関等の初動体制の強化をはじめ、町民の皆様には正確で迅速な災害情報を提供するとともに、実践的な総合防災訓練などを通して、地域の自主防災力を高め、「自助・共助・公助」を基本に、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
一方、児童・生徒の安全確保を図り、また災害時における町民の広域避難場所となる学校施設につきましては、本年度、小谷小学校教室棟及び旭が丘中学校技術棟の耐震補強工事を行います。これにより、すべての学校施設の耐震化が完了いたします。
次に、消防行政につきましては、住宅火災による犠牲者の約6割が高齢者であることから、引き続き一人暮らしの高齢者世帯に住宅用火災警報器の設置を進めるとともに、宮山消防分団の消防車両の更新を行い、町消防力の充実強化を図ってまいります。
また、市町村の消防の広域化につきましては、神奈川県消防広域化推進計画に基づき、引き続き湘南地区の消防の広域化に関する検討委員会において関係市町と広域化の方向性を検討してまいります。
さらに、町民等の安心安全や救命率の向上を目指し救急救命士の資格取得、消防大学校等での各種専門教育の受講を進めるとともに、近隣市町消防署との広域での相互訓練の実施や職員の技術の高度化を図るなど、消防職員の資質の向上を進めてまいります。
次に、交通安全対策につきましては、悲惨な交通事故撲滅を目指し、警察署をはじめ、関係機関や団体等との連携を一層強め、様々な啓発活動を推進してまいります。 特に、寒川町は、高齢者や自転車による交通事故の発生件数が県内で上位を占めているため、その防止対策の強化を図ってまいります。
次に、防犯対策につきましては、被害の根絶に向け、警察署をはじめ、関係機関等と一体となった啓発活動の推進や防犯アドバイザーによる防犯パトロール、老人会、自治会、PTA等への防犯講演会を実施するとともに、防犯灯の設置等により「安心・安全のまちづくり」に努めてまいります。
また、登下校時における子どもたちの安全を確保することは、安心して学校に通う上で欠かせないものです。本年度も、入学する小学生への防犯ブザーの貸与をはじめとして、教職員を対象とした防犯講習会、地域と連携した見守り体制の推進を図り、児童・生徒の安全確保に努めてまいります。
一方、本町においても高齢社会が急速に進展する中、消費生活をめぐるトラブルも複雑、深刻化してきております。
高齢者等をこうしたトラブルから守り、安心して暮らせる町民生活の確保に向け、本年度は、役場庁舎内の町民相談室に消費生活情報コーナーを設置するとともに、引き続き、茅ヶ崎市との連携による、相談窓口を設置してまいります。

まちづくりの四つ目は、「豊かな心と文化をはぐくむまちづくり」であります。
生涯学習の推進につきましては、「寒川 学びプラン」に基づき、町民一人ひとりが生涯を通じて生きがいのある充実した生活を送れるよう、幼少年期から高齢期にわたるライフステージに応じた学習機会の提供を図ってまいります。
各公民館では、「ともに学び・ともに支えあう自己実現と協働のまち・さむかわ」を実現するため、各種講座や教室、芸術文化事業など幅広く開催し、生涯学習を推進してまいります。
なお、ご不便をお掛けいたしますが、現在の寒川町公民館は、老朽化のため休館し、寒川小学校内などにその機能を移し、町民の学習の場、活動の場を確保してまいります。
 一方、寒川総合図書館は、開館4年目を迎えますが、利用者は1日平均千人を超え、県内の公立図書館の中でも多い利用者を集めております。図書館が地域・町民の文化活動の拠点として定着しているとともに、町民の皆様の図書館に寄せる大きな期待を実感しております。
本年度もさらに町民の皆様に親しまれ魅力ある図書館にするため、質の高いサービスの一層の充実に努めてまいります。
また、本年3月完成予定の田端スポーツ公園などを活用し、様々なスポーツ・レクリエーションのイベントや大会などの行事を実施することにより、町民一人ひとりが健康でいきいきとした生活を送ることができ、生涯にわたり自由にスポーツを楽しめるような環境づくりの推進を図ってまいります。
また、社会が急激に変化する中で、学校教育に求められているのは、知・徳・体の調和がとれた「生きる力」を身につけた子どもたちを育成することです。
この目標に向けて、学校との連携を一層密にしながら学校に対する支援に努めてまいります。
また、きめ細やかな指導を行うために、小学校1学年において少人数学級を継続して実施するとともに、特別支援教育の充実に努めてまいります。
さらに、新しい学習指導要領の完全実施に向けて、これからの時代に必要とされる力を育成するため、英語指導助手を1名増員し3名体制とし、新たに小学校に導入された外国語活動の充実を図り、コミュニケーション能力を育成するための条件整備を進めてまいります。
なお、不登校問題や子どもたちの様々な心の問題に対応するため、指導主事を中心とした相談体制の見直しを図り、心理士、巡回相談員、スクールカウンセラー、訪問相談指導員等の一層の活用及び連携を図りながら教育相談が効果的に機能するように努めてまいります。
次に、青少年の健全育成につきましては、家庭・地域・学校・行政等が連携した取り組みがますます重要になっております。放課後児童の健全育成を目的とした「さむかわふれあい塾」においては、児童クラブとの連携を図りながら子どもたちの豊かな成長を育んでまいります。
次に、寒川文書館ですが、町のことなら歴史をはじめ、何でも調べられる施設であるとともに、町の説明責任を果たす機関として運営しております。本年11月には、町制施行70周年を迎えますので、より一層、過去の情報に目を配りながら、将来のまちづくりに資することができるよう、歴史的公文書をはじめとする資料の収集・保存・利用促進に努めてまいります。

まちづくりの五つ目は、「魅力ある産業と活力あるまちづくり」であります。
活力あるいきいきとしたまちづくりを進めるために、商業・工業・農業・観光といった産業それぞれの活性化とともに相互の連携を図る必要があります。
商業では、特に、寒川駅北口地区の商業の活性化が急がれる中、昨年末に、地元の4つの商店会が1本化され「寒川駅北口商店会」に生まれ変わりました。また、その北口商店会の支援事業として、ソーラー型街路灯を新設する事業を進めています。今後とも、明るく活気のある駅前を目指して、最大限の支援をしてまいります。
また、昨年度、商業活性化対策として商工会に対して助成した「プレミア付き共通商品券」の補助も、地域で確実に消費していただけることから継続して実施いたします。
工業につきましては、企業の新規進出と新規投資を促進するための企業立地促進に関する優遇策・融資制度、そして県の企業誘致施策と連動させた利子補助制度を、本年度も継続してまいります。
農業につきましては、昨年末に農地法が改正施行されました。この法改正は、農地減少を食い止め、農地を確保し、最大限活用することで、耕作者の地位安定と食料の安定供給を図ることを目的としています。
そこで、農業後継者育成支援事業や、わいわい市との連携による地産地消事業の推進により、適正な農地の利用や特に若手の育成を目指してまいります。
また、農業委員会や県などとも連携を図りながら荒廃地や不耕作地の解消に努めてまいります。
次に、勤労者対策につきましては、昨年、緊急経済対策として実施した勤労者生活資金融資の対象者・融資限度額の拡大や、教育資金利子補助制度の補助額の拡大を、本年度も引き続き実施してまいります。
次に、観光につきましては、本町の情報発信や、商工業や農業などの分野との連携で、町の経済発展の中心的役割を担うものとして充実させていく必要があります。
現在、観光協会、商工会、町からなる観光事業検討協議会に、寒川神社を加え、観光資源の発掘、新規イベントの研究、さらには商業や農業との連携の具体策など、本町の観光の基本となる「観光振興計画」の策定をお願いしているところです。
また、昨年、お花の道散策事業として大蔵彼岸花の会設立準備委員会と観光協会の共催で、小出川沿いと青少年広場に彼岸花を植え、初めて参加した「彼岸花まつり」の定着を図ってまいります。

次に、「施策の推進に向けて」であります。
私は、町政運営の基本を「クリーンで透明な町政の実現」を念頭に置き、施策の推進に向けましては、本町における自治の基本理念であり、町民主体の自治の実現を目指す「寒川町自治基本条例」を基本に、常に町民の皆様のご意見等をいただきながら、推進に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えております。今後も、積極的に行政情報の提供等に努め、町民との協働によるまちづくりを推進してまいります。
また、町民が等しく適切な情報を共有できるようにするため、本年度は、「広報さむかわ」及び「議会だより」のポスティングによる全戸配布を行い、町からの情報を積極的に発信してまいります。また、ホームページを利用する方も増えている状況から、ホームページのより一層の内容の充実を図ってまいります。
広域行政につきましては、広域的な視野に立ち、周辺自治体の市町とともに抱える様々な課題について、共同してその解決に向けた取り組みを進め、より一層の連携の強化を図ってまいります。
その一貫として、湘南広域都市行政協議会につきましては、本年4月にこれまでの任意の協議会から、地方自治法に規定する法定協議会へ移行いたします。法定協議会設立により、連絡調整機能を十分に発揮しながら、共同処理にふさわしい新たな自治モデルたる広域連携施策の連絡調整を図り、住民サービスの向上、地域の活性化、行政の合理化及び効率化につながる施策の実現に努めてまいります。
また、昨年度は第4次行政改革大綱及び実施計画の第3次改定を行いましたが、本年度もこれらに基づき各事業の見直し等を実施してまいります。
さらに、休日の役場窓口の開庁につきましては、昨年の10月から毎月第1,第3土曜日の午前中、1年間の試行期間として開設したところであり、今後の利用状況を見て継続等の判断をしてまいります。
なお、実施が遅れておりました町民や学識経験者などで構成する行政の外部評価委員会を本年1月末に立ち上げましたので、本年度も継続して実施してまいります。

(おわりに)

今後も厳しい財政状況の中での町政運営ではありますが、このようなときだからこそ、「住んでみたい、住み続けたい」と感じ合え、定住したいまちづくりのための道筋を示さなければなりません。このために、行政改革に全力で取り組み、施策の「選択と集中」により将来に向け持続的に発展していく礎を築くとともに、これまで先人が築き上げてきた歴史や文化、自然環境を守りながら、町民の皆様が誇りと愛着の持てる活力あるまちづくりを目指して、全職員一丸となって取り組んでまいります。
議員各位をはじめ、町民の皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、私の平成22年度の施政方針といたします。

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